誰もお前を呼んでない





だから、俺も行こうかって言ったじゃん
夢のなかで悠哉が拗ねる

でも、ぶっちゃけお前来たら面倒だったんだもん…
あと絶対ノリさんに馬鹿にされるし…


え!?うそ、杉本くん不良フラグキテんの!!??
うわー!!なにそれさすがだね!!!フラグマスターはやっぱ違うよ!!!
俺も行きたかった!でもごめん今日新刊発売するからさどうしても無理なんだよアァア

…宮本、なにそんな喜んでんだよ…つか連れてかねぇから安心しろ
なんだよフラグマスターって全然嬉しくねえよ…

え、つかなに、俺不良フラグたってんの?
なにそれ?え?
俺全然そんなの望んでないんだけど



ああ、ほら、藤がすっげえ心配そうに俺を見てる
顔近くね。藤は俺に何を言いたいんだよ
AV買いにきたバツだっていいたいのか?
そんなの知るか


やけに温かい手
なんだよ妙にリアルな感触だなおい


ってか、これって、
現実?






「っていう夢でお願いしますっ!!!」




ガバァッと盛大に布団から起き上がり大声をあげる

あれ?俺今やっぱ夢みてた系?
え!まじ?まじで?さっきの夢?

ほら、今布団ガバァッっていけた………し……



手元を見ると、見覚えは全くない布団

あれ、俺の布団ってなんか間緑だった気がする
おかしいな…これ黒なんだけど。
もしかして藤勝手にクリーニング出した系?
んな訳あるかい。



瞬きを一回

二回

三回


部屋を見渡すと、どちらかと言えばカントリーチックな感じの柔らかい雰囲気の部屋




「ここは………どこだ」

「お前バカだろ」

「おびゃあああああああっ!!!!!」



突然の横からの声に体の底から叫んだ

ちょ、ちょっと何!!!!!!????

横を見てみると踞って耳を塞いでる金色頭の誰か

ひぃっお前誰だよ!!!!


「うるっせえな、突然叫び声だすんじゃねーよ!!鼓膜破れっかと思ったわ!!!!」

「はっはいいぃいい」



胸ぐらを突然捕まれて、目を思いっきり瞑りながら返事をした
なんだよ何事だよ俺何もわかんないんだけど!!!?



ただわかったのは、


これは現実だってことだ
めっちゃ首苦しい俺死ぬかも



胸ぐら掴んでる手が離れたので恐る恐る目を開ける



けれど、目の前にいた人物にそれはそれはまた叫び声をあげそうになったもんだ。



「…ひっ…え、あ、あ、え、え」

「あ?」


俺の吃りにしかめっ面で返事する目の前の男


この人を知らない、なんて言うことができるわけない程の存在感を持つ、この超美形のこの男

え、なんでこいつが俺の目の前にいるの?
え?なんで?
ここ学校ですか?

近くで見る金髪は、確かにその顔にむかつくくらい似合っていた。



「ほ、本物!!?」

「お前はいちいちリアクションでけぇな」

「いたいっ」


パシリッとでこぴんをされ、小さく悲鳴をあげる



ちょっと待って
俺余計理解できないんだけど



もう一度この目の前の端整な顔を見る


やっぱり、そうだ、絶対、そうだ



「何見てんだ。何か言いたいことあんならさっさと言えよ。」


そしてこの上から。
間違いない



「か、会長………ですよね?」

「気づかないなら相当な馬鹿だな」



……………ぶっ殺してぇ。

鼻で笑われてあらためてこの美形をぶちのめしたいと思った



辻隼人
俺の学校の会長



が、なんで目の前に?



いやでも落ち着け
俺はまた得意の気を失ってしまったらしいから全く状況が把握できない


ここ学校じゃなくね?
いや、まあ地元だけどさ、


「なんで、ここに、いるんすか」

「俺としてはなんでお前がここにいるのか聞きたいけどな」


アクビをしながら、立ち上がる会長
ふぁ、と間抜けな声を出して涙目で俺を見るこの人は、壇上の上の彼と大分イメージが違っていた


制服を着ていないからか、
はたまた想像とは全く違うラフな私服姿でいるからか。


くそっ、イケメンだから腹立つ!!!!!



「お、俺は、買い物を、してて」

「ああ、すっげえ量のAVだったな」



ハハハと軽快に笑いながらビニール袋をガサガサする会長
うわあああ見られたのかぁあああ


「俺と趣味あわねーから興味ねえけど。俺どっちかというとまな板のドM女好き。」

聞いてねえよ
つかあんたもAV見るのかよ
そっちに驚きだわ。イメージが一気に変わったわ。


「それで?なんで、ぶっ倒れたわけ?」

「え?」

「お前、ぶっ倒れてここに運ばれてきたんだよ。そんくらいわかんだろ」


なんでこいついちいち馬鹿にしたように笑ってくるの?マジムカつくんだけど、は?

いや、でも落ち着け
まだキレるな俺
ここは敵の陣地だ。バカな行動をしちゃいけないぞ俺
しかもこいつは噂で不良って聞いてるからな。手出されたら俺は終わる。ビビってる訳じゃない。無事に生還して、AVを堪能するためだ。



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