おかしいな。

ノリさん、大丈夫とか言ってたのにな。




ノリさんのあのムカつくくらいの爽やかな笑顔を思い出しながらそう考える

いや、なんていうか、

あっちこちに怖い人たちいるんですけど!!!




薄暗い商店街の道路



建物の下には数人で溜まってるチャラチャラした男共がいる
俺が横を通ると談笑をやめて無言でこちらをみてくるからめっちゃ怖い

なんだこいつら見んじゃねーよ!


走りそうになる勢いで早歩きをする

あー、人通りがあるところまで遠い
なんでこんな普通の人がいないの?仮にもここ商店街的な場所でしょねえちょっと


つかなんで不良がいるの?
決起集会でもあるんですか?え?



学ランっぽいのを着てると言うことはきっと工業高校の奴等なんだろう



やっぱ悠哉連れてくるんだった。本当。バカヤロ。




半ば泣きそうになりながら、ある所の角を曲がる
なんとなく真っ直ぐな道を歩き続けるのが嫌だったから。


足も気のせいか震えるし、ドクドクと心臓が煩い
怖いもんは怖いんだ。
狙われたら痛いし。


けれどどうやらその読みは外れだったみたいだ。



「ひっ!」


角を曲がったところに丁度男が三人いて、小さな悲鳴が漏れる

なんてこった!!!!


思わず漏れてしまった声を抑えるようにして口を抑える
男三人は、チラリとこちらを見てきた

ヤバイ。


そう確信して、小走りでそいつらの前を通る



しかし、偶然耳にした言葉に余計冷や汗が溢れた



「………なあ、あの制服」

「俺も思った。」


あの制服…!!??
あ、これかっ

見慣れねえなとかそんなんかな、どこモンじゃ、とか!?ヤクザかよ!

制服着てきたの失敗だろうか
いや、100%失敗じゃね。




「なあ、お前さ」




ドキーーーーンッ



案の定後ろから肩を叩かれ完全に四肢の動きが止まった



口から心臓が出そうになる
いやむしろゲロ的な何かが出そう。




「は、はい…」



恐る恐る振り向く
後ろではいかにも不良ですって感じに色を抜いてる茶髪と黒茶髪と赤髪をした三人が俺を見ていた

な、ななななな
なに


また俺金取られんのかな




「その制服って」

「お金は持ってないです!!!!!」

「はあ?」


全力で一文無しだと言うことを訴える



あ、この制服ってもしかして金持ち学校って思われてんのかな!!?



「俺は確かに白鷺高校の者ですが!普通の家の育ちなので金はありません!!!」

「あ、やっぱり白鷺んとこなんだ」


しまった!!!!
言わない方が良かったパターン?



「偶然だなあ、まさかこんな所にもいるなんて」

「まあ普通ここ人こねーしな」


後ろのこげ茶髪と赤頭が笑いながらそう言う

こ、怖い…



近づいてくる二人にガクガクと足が震える
鞄を持ってる手の感覚も無くなってきた


ぶっちゃけ、心拍数があがりすぎて意識すら危ない



「おい?どうした」



そんな中茶髪が俺の肩を掴む



「ヒイィッ!!!」


「はっ!?おい、っちょ、」



この時、俺は無意識のうちに跳ねて後ずさり、

それとともに震えでふんばりが効かない足のおかげでバランスを崩して後ろの壁に頭を強打した






神様、一言言わせてください





俺が何をしたっていうんですか。













「え、ちょっと、君ー?」

「…………おい、こいつ、ノびたぞ」

「え、なんで?」

「頭ぶっけたっぽい」

「え、それだけで?平和なヤツだな」

「んー、しゃーない。同じ高校の奴だし、運んでやりますか。」


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