いや、でも悠哉にいろいろ言われるのは腹立つ!



何か、言い返さなければ…!
じゃないと、神崎先輩いい人過ぎるから本当に近寄らなくなりそうクソ悠哉め!恋人ができないからって俺になんて嫌がらせを…!


カラッカラな脳細胞を総動員して何かいい理由を考える

けれども、やはりカラッカラな脳みそは全くもってアホな事を俺に喋らせた



「お、俺、親衛隊の子達全然怖くないですから!むしろ可愛すぎて目にいれても痛くないと思える程度なんで苛めてもらっても全然構いません!」


親衛隊の子達をフォローしなければ、と思う一心で超本気な顔をして言った俺


けれど、目の前の二人はポカーンとしていた

その表情に、自分の言ったアホさに気づいてハッとする


「あっ、違うっ!いや、違くもないんですけど、そんな目にいれて欲しいって訳じゃなくて、俺Mじゃないですし、なんていうか、そのぉ」



だめだ、俺日本語しゃべれてない…!
ついに羞恥で顔がカァアアと熱くなる


なんで神崎先輩の前でいっつも失態ばかり冒しちゃうのかなぁ!




「あっははははっ」



そんな時、神崎先輩が大きな声で笑った
それにギョッとする俺ら


きっと周りもびっくりしていることだろう


コロコロと鈴のような笑い方をする神崎先輩ははっきりいってめちゃくちゃ可愛い。

その表情に心臓がドクドクと暴れる


「はぁーっ、やっぱり春也くんは面白いなぁ。そんな宣言しなくてもいいのに」

「いや、宣言した訳じゃ…!」


……でも、苛められるのも悪くないな……

思わずそう考えてしまって慌てて我にかえる


「春也くん苛めたら楽しそうだけどね」

「え、あ、え」


ふにふにと頬を摘ままれて固まる
ふふ、って微笑んでる神崎先輩まじ色気ヤバイ。


つか、神崎先輩が、俺のほっぺ触ってくれてる
やばい嬉しい嬉しい嬉しいやばい!!!!




「おおおおれも神崎先輩になら全然苛められても「はい、春也ストーップ。神崎先輩も春也にさわらないでくださーい」


ペシンと神崎先輩の手を払う悠哉

き、貴様ぁあああ!!!


「わー、番犬くんは大人しくマテでもしてればいいのに」

「俺はそんな出来のいい犬じゃないんですよ。あと、ここ食堂なんでそういう行為やめてください」


いろんな人がこっちを見てくる、と悠哉が苛立ったようにそう言う
確かに、生徒の大部分はこちらを興味深そうに見ているが、一方で俺を射殺すような目で見てくる輩もいた

こ、こっうぇ…!



すると、神崎先輩がため息をついた



「面倒くさいね。俺の役職って」

「だから俺は生徒会になりたくないんです」

「頭いいな倉田は。」


あれ、俺おいてけぼり会話だ。

でも確かに生徒会メンツはこの学校じゃみんなのアイドル的な存在だから、俺みたいなぺーぺーが気軽に話せるような相手ではない


だから雲の上の存在なんだよ神崎先輩はぁあ!!!

こんなこと奇跡に等しいんだよぉおお


一人で悶える

すると、


「神崎さま…」


控えめな声と共にある人がやってきた

様呼びをしている人たちなんて、大体は決まっているけれど。

その声の方を見てみると、見覚えのある顔


あ!この人俺に魔球を当ててきた…!

鼻血の事を思い出して少しだけビビる


「…なに?」

「あっ、あの、お話し中にすみません…少し、ご相談がありまして…」

「今?」

「はい…」


「ふーん」と相づちをうつ神崎先輩
パチリと目があったと思ったら苦笑された



「んじゃ、俺は退散しようかな。そのうち倉田が吠えちゃいそうだし」

「吠えませんよ」



「ばいばい」と言ってヒラヒラ手を振ってくれた神崎先輩に頭をさげる



ゆ………

夢のような時間だった……



今の数分を思い出しながらしみじみと思う



あぁああああ神崎先輩ほんっっっとイイ人あんなきれいであんな穏やかでもうなんか俺死んでもいい!!!!


神崎先輩の後ろ姿を見て悶えていたら親衛隊の子がクルリとこちらを向いた



何か用かな

あ、もしかしてこの前の事でも謝ってくれるのかなwktk
ポジティブシンキングができた俺ってすごいと思う。


けれど、笑顔を向けようとしたその瞬間、中指を立てられた



!!!!??


次に首の所に親指を持っていって横にシュッてやられ、俺は固まる

え、なに?あれって俺の記憶的に死ねてきなジェスチャーな感じが……



「ゆ、ゆうや…!」

「ん?」

「俺って、もしかしてさぁ…」


神崎先輩の親衛隊の子達に嫌われてる…?



ボソッと小さい声で聞いてみたら悠哉は声をあげて笑った


「今さらだね」


…………俺に1000のダメージ



つかなんでそんな笑顔なんだよお前腹立つな





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