こ、の声、は!!!!!!!!!


一瞬悠哉の曇った顔が見えたが、そんなの気にせず横を見る


案の定そこには、いつの間にいたのかわからない神崎先輩がいた



いいいいいつの間に…!


「せ、せっ、せんぱ…!」



先輩だあああああああああ

久しぶりの神崎先輩に一気にテンションがあがる俺
ガタンッと音を立てて立ち上がったため、一気に注目の的な気がしたが、ぶっちゃけそんなんどうでも良かった



「相変わらず仲良いんだね二人は」

「え、あっ、はい!」

「……」



無言で先輩を見上げて無愛想な感じの悠哉

先輩に話しかけられているというのになんてふてぶてしいんだ!



「い、つのまに来たんですか?」

「ちょうど今さっきだよ。仕事終わったし」


ほら、と指差されるのはいつものイケメン集団
別に他の奴等はどうでもいいけどな神崎先輩いればそれで

どうやら今日はあの腹立つヤリチン野郎はいないらしい



「ぉおお疲れ様です…!」

「ありがとう。……あ、そういえば傷どう?」

「今は全然平気です!」

「そっか」


良かった、と微笑まれて心臓がギュッとなる
あぁああ、くそ癒されるううあああ

てか隣にいるだけで良い匂いするし
この前偶然みつけた先輩の口元にあるホクロえろいし


ああ、俺、今すごい幸せかもぉ
全校生徒よ、羨ましいか。



「……春也」


ムギュッと頬を掴まれ現実に戻る
今俺どんな顔してたんだろ


「春也君って本当面白いと思わない?」

「そうですね…」


神崎先輩が悠哉に笑いながらそう言う
か、神崎先輩が俺を誉めてくれてる…!嬉しい!!

対して悠哉は相変わらずふてぶてしい態度
なんだお前こんにゃろ


「というか先輩、こんな人目の付くところで絡まれると後々が怖いんですけど。」

「あぁ、不用心に接触するなってこと?」

「俺ならまだしも、春也は危ないので。」


え、ちょ、なに勝手に言ってんだよ
ギョッとしながら悠哉を見るとどこか苛ついた様子で。


こいつ!


「いや、俺別に大丈夫ですよ!」

親衛隊の子達の話してるんだよな!?
全然!怖くないし!


「そんなこと言って前怪我したじゃん」

「怪我って言うか…」


つか悠哉眉間のシワすげえ…

今まで見たことのない形相に戸惑う
どんだけ怒ってるのさ


「なので、あんまこいつに近づかないでくださいね」

悠哉が先輩にそう告げる

えぇえ、だから何お前勝手に…!


そんな悠哉を見て、神崎先輩は「へえ」とどこか納得した態度を見せた


「今までどうして杉本くんって存在感あるのに目立たないんだろうって不思議だったけど番犬がいるからなんだね」


……番犬?
悠哉の事なのはわかるけれど

…こいつ過保護だしなぁ

あとちゃっかり俺の事影薄いっていってますよね



「春也は抜けてるから俺がいないとだめなんですよ。」

「…ふーん、そっか。」


俺は赤ん坊か。おい。




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