「なんだよー、春也からご飯のお誘い来たからびっくりしたのにー。」

「今日金曜日だっつーの。」

「本当だよ。全くさ」


藤が出てってから五分後くらいに悠哉がやってきた。
犬か。



「あー、それにしても今日神崎先輩に会えるといいなぁ」


ドキドキしながら神崎先輩を想像する
あのいい匂い。声とか息遣いとかも今でも鮮明に覚えてる。むしろ忘れられないね。
あと意外と低体温って感じ?手冷たかったし。

うっわぁあの手握ってみてぇぇ…!


「…ふーん」

妄想にひたる俺につまらなそうに相づちをうつ悠哉


…なんだそのテンションの差
ふーんて。


「てか春也っていっつもそんなこと言ってるよね。コクる勇気もない癖に。」


こ、コクるって、


「いや、お前、それは段階を踏んでからだな…」

「わー、童貞っぽい発言だね。」

「ぶっ殺すぞ」


笑顔でなんて事言うんだこいつ
あ、もしかしてさっきの自慰話の時の藤もこんな気分だったのかな。ごめんな藤下ネタ控えるようにするよ。



食堂に到着して食堂のおばちゃんに注文をする
まだそこまで煩くないってことは生徒会の奴らは来てないんだろうな。ラッキー。


「そういえば中学の時も春也告白とかしたことないもんね」

「うるっせ」

むしろ女の子とあんまり喋ったことねーぞっていう。
あー、でもこんなことになったら共学いくんだった。


「なあもし俺が共学いくって言ったらお前も共学来てたわけ?」

「?うん。」


……どっちにしろ俺女の子と近づけねぇや
こいついるし


てかどんだけこいつ俺にベッタリなんだよー。
こいつ前世おれの忠犬だったんじゃねえの?



周りに 倉田くんだ、とか先輩の後ろ姿カッコいいとかどうとかこうとか言われてるなうの悠哉

本人は気づいてすらないんじゃないかってくらいの態度でおばちゃんに鯖味噌定食頼んでる。鯖味噌て。お前はじじいか。



「あ、そういえば俺明日外出するわ。」

「え。どこに?」



受け取ったご飯を自分の席に持っていきながら呟く
案の定悠哉は心配そうに聞いてきた。


「いや、中学の時お世話になった店に。」

「・・・。ああ。」


この話だけでどこの店かわかるお前はさすがだよ。
てかその白い目、さっき藤からも二連発貰ったんだけどな。


ちなみにお世話になった店というのはアダルトショップのこと
お陰で店長ともマブダチだぜ!




「一人で行けるの?おれも行こうか?」

俺は子供か。


「一人で行けるっつーの。つかお前がアダルトショップとか18禁どころの話じゃない。」

「意味がわからないんだけど。」

「イケメンは黙ってろって意味だよ。あ、買ってきてほしいものある?」

「・・・ないけど。」


まあそうでしょうね。
あー、でも久しく言ってないから潰れたりしてたらやだな。
店長元気かなぁ。
あそこ人気がほぼない路地裏にあるしな。

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