お前かよ





それにしてもどうして悠哉はこんなに神崎先輩を否定するのかな
そこら辺にいるイケメンよりずっと眩しいのに。まじ意味わからん。



「つか悠哉さっさと帰るべ。疲れた。」

「んー…」


どこか腑に落ちない顔をしてる悠哉を無理矢理引っ張って足を進ませる

まあ、悠哉に何を言われようとも?俺は神崎先輩を追いかけるのはやめねえけどな?


あー、生徒会室近く行ったら先輩に会えるかなぁ
一目でもいいからチラッて見たいなぁ


靴箱と逆方向なんだよな、生徒会室
つか悠哉いるしそんな事できないけれど。



「…な、悠哉」

「ん?」

「ちょっと生徒会室に…」

「ダメ」


何言ってんだよ、と冷たい視線をむけられてがっくりする
会いたいもんは会いたいんですもん…


ハァ…とため息をつきながら窓の外を見る
やっぱり下校をしてる生徒か部活をしてる生徒かしかいないので、人気は少ない


どっかに先輩いないかなぁ〜
普通生徒会だもんなぁー


「春也ちゃんと歩けって」

「はいはい」


言われて仕方なくちゃんと歩く

なんか昨日劇的な出会いをしたから今日何かあるのかと思ったのになぁー


ハァ、とため息をつきながら歩いてた時、謎の人混みを発見

職員室前。


みんなドアにヘバリつくようにして中を見ている



……なんだぁ?



「どういう状況だあれは」

「どうせ生徒会の誰かがいるんでしょ」


悠哉が俺の手を取る
お、これは歩くのを止まらせない、というアクションだな

だが断る!


「誰だか見るだけ!な?」

「神崎先輩じゃない可能性の方が高いと思うよ」

「チラッとだけだって」


悠哉に繋がされた手を無理矢理離し群衆に近寄る
そして誰かを聞くために その中の一人に声をかけてみた


「さーせん、今誰を見てるんすか?」

「…え?」


声をかけた相手はなかなかの可愛い子だった
俺が知らないってことは一年生だな?

ん?てかここにいる子みんな小柄だな、かあいい かあいい
パラダイスやでぇ


「あ、えっとですね…」


そう言って可愛い子ちゃんの口があきかけた時、


『ガラッ』とドアが開いた

空気が一気にピンク色に代わるのがわかる




出てきたのは……



「何してんだお前ら。邪魔だろーが」


俺らに嫌悪を剥き出しにする、何様俺様会長様の会長だった



うわぁあ、会長かよ…
一気に萎えたわぁ



ピャアピャアしてる群衆を他所に俺は悠哉の元に戻る
悠哉はそれみろ、とニヤニヤしてた


「残念だったね」

「うっせ」


早く帰ろ、と思って足を進める
最後にチラ、とだけ会長を見てみたら目があった
ついで、悠哉に視線を移す会長


んだよ…俺らのこと見てんじゃねーよクソボケバカ


よっぽど言ってやろうと思って小声で呟く準備をした瞬間、宮本から聞いた会長不良説を思い出して慌てて口を塞ぐ


いやビビってるって訳ではない。
一応防衛としてだ。自ら危険に足を踏み入れる事はしたくないし。


…目つけられる前に行こ

一応言っておくが怖いわけではないぞこんなヤリチンアンポンタンに。


悠哉の手を握って足を早める
悠哉は意外そうに目を見開いたが、すぐに理解したらしい


「相変わらず不良って人にトラウマ持ってるんだね」


「うっせぇ…!」



ああ、神崎先輩に会いたかったのに…


神崎先輩…。
会いたいでふ…。

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