え?つか不良の総長ってなに?
なんでこの学校にいるの?滅多にお外でないじゃん。

休みぐらいじゃんお外出れるの。



「大丈夫だよ春也、さすがに生徒会長だから生徒に手は出してこないから」

「え、なにそれ!僕としてはむしろ出してほしいな!」

「そういう意味じゃないから」


宮本がまた意味のわからない話を…


つか、俺ももう高校2年生だし。
でも喧嘩お得意の奴なんか全然怖くねぇし。お得意ってなんだ意味が分からない


でもでもでも神崎先輩は俺が守らなければ……!



「春也、落ち着きなって」

そんな中、悠哉にポンポンと頭を撫でられる俺

落ち着けとかいってるけど、ぜってーこいつも馬鹿にしてやがる
含み笑いがバレバレだぞこのやろう


馬鹿にすんな、と悠哉の手を払い落とそうとしたその時、



突然バゴンッと凄い音が体育館内に響いた






………ん?



うるさかった体育館も一気に静まる
ついでに俺もドッチボールの存在を思い出した




理由は、


会長が投げたボールが、
さっきまで会長をしつこく狙っていたマッチョくんの顔面にめり込んだから。




…………え。





「あちゃーあれは痛い。」


呆然とする俺を余所に、悠哉は呑気に笑う

ギャラリーから悲鳴に似たような叫び声が響いた。

マッチョくんは鼻を押さえてよろめきながらドテンと倒れて。



・・・。

ぇえぇ………




「あははっ、可哀想。唖然としてんじゃん」

「倉田くん笑顔が黒いねえ」

「むしろ爽やかに見えるの?」


他人から見たらそう見えるぞ
つか悠哉なんかよりも問題はあのマッチョくんだ



会長が「早く立てよ。試合終わんねーだろ」とマッチョくんに言う
どうやら狙われ続けたのが相当お気に召さなかったらしい。


えええなにいつの間にこんな状況になってたんだ


ま、負けるなマッチョくん!
そのまま立ち向かえ!そしてボコボコにしてくれ俺の代わりに!


全力でマッチョくんを応援する俺
そんな中我に返ったような審判がマッチョくんに駆け寄った


「顔はセーフだからまだいてもいい」、と審判が言うが頭をブンブン振って外野に出てしまったマッチョくん


あぁあ……!


「鼻血でてんじゃん。切れたんじゃないの」

「マッチョくん俺の代わりにもっと頑張ってほしかった…」

「あの状況でまだ頑張ってたら相当馬鹿だよ」


そうだけどさあ


鼻血を出したからかティッシュで鼻を押さえながら体育館の外に出てしまったマッチョくん

………痛そうだ


やっぱ、あれなのか、あの、
不良だから腕力とかすげえのかな…


一応言っておくが、別にビビってるわけではないぞ。



「そういや、副総長って僕らの学年にいるらしいね」

「え゛」

「へえーそうなんだ。いかにもな人?」


だから悠哉はなんでそう簡単に受け入れられんだよ

これ以上いらねえよそんなどうでもいい情報
俺を安心して生活させたくないのか


「いやぁ、僕ですらわかんないからふっつーの人なんじゃない?平凡で強いとか最高じゃん。萌える。副総長受け。」

「何が萌えるのかわからない。」


俺としてはどうして不良チームなんかがあるのか理解できない
喧嘩して楽しいのか
自分痛め付けられて嬉しいのか?はい?Mなの?


「ほらー、また不良の話し始めたから春也の目が虚ろんできちゃったじゃん」

「虚ろんでねーよ」


不良の馬鹿さに笑ってただけさ。




「てか、春也間抜けだからさ、気抜いてあの人みたいに保健室連行されそうで心配。気を付けなよ?」

「俺はそんな間抜けじゃねえ!むしろボコボコにしてやるぜ!」


胸を張りながらそう言ってやった

けれど無言を返された俺



………え、なんで?


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