てか、前々から思ってたけど、


「他人の恋愛見て何が楽しいのか理解できねー」


むしろ気分がた落ちすんだけど
本当何が興奮要素になるんだ?


「俺はむしろそれがないと生きていけない。そう考えるとほんとここの学校って素晴らしいよね!!!」


突然息を荒くした宮本
すげえ眼鏡曇りそう



俺と悠哉は静かに距離をあけた



「春也はどこ見るの?」

「あー、いつ俺らの試合始まってもいいように第一体育館内にはいたい。」

「じゃあドッチボールかバスケだね。」


どっちにするべきか。
どっちも俺のお薦めいるんだけど。


「僕ドッチボール見たい!」

「え」


悩んでいたら突然宮本が手をあげた。

目がランランとしてるってことは、何かあるんだろうか


「えー…でもー」

「いいじゃーん、杉本くんに色々教えてあげたんだからさあ お願いー」

「………。」


それ言われたら断れねえじゃねえか…



「まあ別にいいけど…穂積先輩いるしね」

「誰?」

「ちょーーーーぜつ可愛い先輩。もう妖精。」

「ふーん」


聞いといてなんだその態度は!

少し天パな髪がもう超キューティクル!
まるでキューピッドだね!
あ、妖精だった!


「宮本が行きたがるってことはなんだ?ホモカップルでもいんのか?」


まあこの学校のカップルみんな男だけど



「行ってみてのお楽しみさあ〜」



俺の言葉にニヤリと笑った宮本



お、お楽しみ…だと…?

つまり俺のハーレムが待ってるってことか?




「お楽しみかあ…!」

「うん。お楽しみ!」


宮本の言葉に内心テンションがあがる








……………が、











実際は全然ハーレムではなかった。






ただでさえ煩い体育館は、あるクラスによってさらに熱が上がりいろんな歓声の中ドッチボールが行われいる



そして、その応援の対象が、もう、ほんと、言葉にできない。




「宮本、何故、ここを選んだんだ。」


「えー?いいじゃん可愛い子いっぱいいるんだし?」




目の前の光景を見て絶望する


確かに応援している子達はみんな可愛い。膝小僧ありがとうございますだけれど、


だけど………!




自然と憎しみの籠った目で見てしまう、コートの中で一際目立っている金髪頭


もう誰だかお分かりだろう。





我が学園の、
生徒会長であり、

俺の一番嫌いな人物





「あんなヤリチン野郎の試合見たくねーーーーーーーーーーよ!」






そんな俺の魂の叫びは、たくさんの声に掻き消された









「春也、そういうことはもう少し言葉を言い換えた方がいいと思う。場所的にね。」


数秒たってから悠哉が静かにツッコむ。
うっせ!


「もー杉本くんは応援の子見てなって。つか、ちょー最高だよね。イケメン会長。そしてその親衛隊。倉田くんのとこもすごいけどやっぱ違うね」

その言葉に「…そりゃどうも。」と苦笑する悠哉


つか可愛い子見てろって言われたってお前、可愛い子ちゃんみんなあの金髪のこと見つめてるし全然楽しくない。心満たされない。確かに顔赤くして可愛いけど。可愛いけど。


可愛いけど…………!



「なんであの金髪がボール取るだけでキャーってしちゃうの!?ねえ!なんで!?」

「そりゃあ、カッコいいから?」

「顔だけじゃん!」

「いや、でも春也。性格は別としてもあの人はやっぱそれなりだよ」


悠哉まで…!
つかお前だってイケメンなのに何が違うって言うんだ


その言葉たちにつられ金髪野郎を見てみるが、特に動かないで自分に向かって投げられたボールはとってあと味方にパスしてるというだけをしている。
おまけにつまんないですっていう顔。


余裕ですけどってか!?
なにそれうぜえ!


「すごいよねーあの身のこなし。ヒョイヒョイって。」

「ボールとってパス出してるだけじゃん。敵倒してないじゃん。」

「杉本くんあのボールとれる?」


その質問に顔をあげてボールの動きを見てみる。

今はいかにもラグビー部っぽい男がボールを持っていて、そして相手を殺すかのような勢いで「ウォラァアアああぁあああ」と叫びながらボールを投げた


………もちろん、会長に。



「・・・。………いや、と、れる。余裕余裕。」

「春也。顔ひきつってるよ。」


余計なことを…!

グッと歯を食い縛りながらもう一度会長を見てみると、「また俺かよ」って顔をしつつもボールをとっていた。
足元を狙われたのに片手でボールを掬い上げるようにとっている会長


……いや、偶然だし。
あとあれだろ。
手痛いの我慢してるんだろ?



「すごいねえ。こりゃあ他の生徒もメロメロだわ」

「ほざけ」


くっ、次あいつのクラスにあたったらあいつをボッコボコにしてやる!!
顔狙う!絶対顔狙う!


「しかもね、会長ってどっかの総長もやってるって言ってたよ?」

「え?」


そ、そうちょう…?

って?


「へえ。あ、どおりで条件反射がすごいのか会長さん。」



いや、「へえ」じゃねえだろ
何普通に受け入れてるのこの人

そうちょうって、あれだろ、
不良の親玉だろ?


「俺としては王道すぎてまじヨダレが滝のように流れて大変だったんだけどね。この学校に副もいるんだけど誰だか俺もわかんない。超知りたい」

「王道ってなに。」

「美味しいってこと。」

「……うん。」


総長ってことを聞いても何も驚くことなく普通に受け答えしてる悠哉と早口で何を言ってるかわからない宮本


………に対して俺は固まっていた



「…てか、杉本くん静止しちゃったんだけど?」

「ああ、そういえば春也って過去に不良にカツアゲされてボコボコにされた過去があるから。トラウマってか恐怖」

「え、なにそれ超可哀想」

「たぶん今頃、会長怖くて手出せないって思ってんじゃないの。」





あたりだ。

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