開会式







やばい

これはやばいお





「えー!なにこれ超可愛いじゃん!」

「そうなんだよーなんかいい感じのウィッグ見つけてさあ」



薄目のピンクのウィッグを誉めたり照れたりしてる通常よりも26倍輝いて見える天使たち。
キャッキャッキャッキャという声はまるで聖歌を聞いているよう






……………やばい






いろんな意味で、


爆発しそう。






「江道…ここは天国か…」

「体育館ね。」





クラスメイトの江道の肩にすがるが、ペイッと手で払われた。


うんそうだね。
体育館なんだけどね。




もう少しで体育祭の開会式が始まるよ!!!!!!




「このクラTもいいなアレンジ自在!鎖骨見放題ッフーー!」


我がクラスのユニフォームTシャツはみんな首回りを切ったりしてダルッダルにしてくれてる。もう本当ね。最高だね。早くカメラ出したくてしかたがない待っててにゃんちゃん。



「お前本当危ないレベルまできてるな。」

「誉め言葉に思うことにするよ。」



ドヤ顔したら眉を寄せられた。
そんな嫌な顔されちゃうくらいうざいのかな!



「倉田もよくこんなのと幼馴染みやってられんな。」

「俺がやってやってんだよ」

「何様だお前」



そういや江道と悠哉って元同じクラスだったんだっけ。
え?つかなにその悠哉>俺みたいな!



「つかお前のそのピン止めなに?キメーんだけど。」


江道の若干引き気味の声。キモいとは失礼だな!!
だがまあいい。


「ふっふー、よく聞いてくれたな!」


前髪を留めているピン止めを指指しながら2度目のドヤ顔をすると目を細められた。声を発さなくともわかるぞ。ウザい、って顔だ。



このピン止めはな、

実は


「島井ちゃんがくれた!!!!」



そう!なんとですね!
朝!島井ちゃんが俺に手渡しでくれたんですねえええ!



「へえよかったじゃん」

「そうなんだよー、なんかな、『競技一緒だよね?これあげる!今日頑張ろーね!』つってくれたんだよまじこれ家宝にする!一生もんにする!!!」


すっごい、ほんと、夢かと思った。
びっくりしたもん。


ちなみに小学生の女の子がつけてるようなピンクのうさちゃんね。


「江道はテニスか。可哀想だなもらえないなんて。」

「俺としてはそんな間抜け面にならなくて良かったと思ってる。」

「失礼な奴だな!」



確かにちょっとデコ出てるけど…。
でも島井ちゃんが「かわいー!」って言ってくれたから似合ってないはずがない!ちょっとガキっぽいだけだ!




つか、別にいいじゃんみんなお洒落してるんだし!

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