体育祭前夜






やっぱり順備っつーのはかかせないよな。




「デジカメ一個!メモカ二個!ムービー用カメラ一個!バッテリー予備3っつ!メモ帳用意!」


よし完璧だ!

リビングでポーチの中身を広げながら点呼していく



ついに明日は体育祭



念入りに順備をしてるPM10時なう!!




「…なにこれ。明日の順備?」

「おー藤ー。」


突然の後ろからの声

後ろを振り返ってみるとジャージ姿の藤が居て。
風呂上がりのためポタポタ水が滴っている


「明日は俺の大事な日だからな。順備は念入りにやらねばいけねーし。」

「ふーん。大変だね。」


俺の隣に腰掛けながら俺の手元を覗く藤
シャンプーの良い匂いがフワッとした。


あいっかわらずこいつ前髪なげーなー



「藤は何出んの。」

「俺バスケ」

「バスケ!へー」


意外だなあ。結構動くじゃん。


「無理矢理入れられたの。」


なるほど。

俺の驚きを予想したのか付け加える藤



「ハルはドッチボールだっけ。」

「おう、よく知ってんな。」

「一昨日だったか息荒くしてたじゃん」


あ、そうだっけ。
まあ神崎先輩と一緒の競技ってなったからテンション高かったしな。


体育委員のやつに「報告おせーよ!」って怒られたがまあ気にしねーよ?



ああああ明日楽しみだああああ
あのね。もうね、ウキウキワクワクっすよ

しかもね、明日は結構オシャレしておkなんで、たぶんみんなオシャレしてくると思うんだけどそんなかでもうにゃんちゃんたちはどんな格好してくれるのかなぁああって期待でいっぱいいっぱい


生足期待



妄想でハアハアする俺とは違って、ため息をつく藤


そして一言



「面倒くさいなあ明日」



なんだと!?



「何言ってんだよ藤お前!年に一度のイベントなのに!」

「部屋でのんびりしてる方がいい。」

「それでも男かお前はぁ!」

「意味がわからない。」


俺の問いかけにほんと面倒くさそうに返事する藤
やめて。マジレスやめて。

まあでもかわいこちゃんがお洒落する分男共もシャレこむ
おれとしては心底うざったい。


特に運動部と生徒会な。


「神崎先輩のクラスにあたるといいなぁ。」

間近で見ていたい
視姦していたい


「あの人前線に立たなそうじゃん。外野にいそう。」

「……確かに。」


どっちにしろ俺は神崎先輩に当てるなんて末恐ろしいこと出来ないけどね!当てられるのは大歓迎だけど

むしろ当ててほしい


「あとわかってると思うけど神崎先輩の親衛隊危ないんだから気をつけなよ。」

「みんな可愛い子たちだよ!?」


あそこだけが楽園に見える。いつも。
ちっちゃい子いーっぱい。てか悠哉にも親衛隊いんだよな。畜生一人くらいこっちに回せよバカ


「危ないものは危ないの。ところで明日どうする?朝飯食べるの?」

「食う!ガッツリ食いたい!」


俺の言葉に はいはい、と言って立ち上がる藤
ギシリ、とソファが鳴った

どうやら冷蔵庫の中身をチェックしてるらしい
さすが藤先輩 地味男にしてはやりおる


藤が去ったところで、机の物にもう一度目を見やる

……そういえば明日は風紀委員がうじゃうじゃ見張ってるんだっけか…
注意しねえと。



そんな時ある物を発見


「おい、藤眼鏡忘れてんぞ。」

見えてんのかよ、とか思いつつ眼鏡を掲げる


すると「あー、忘れてた」と戻ってきた藤
眼鏡って忘れるもんなのか。


「お前ってどんくらい目悪いの?」

「あー…まあおじいちゃんくらい?」

「例えが範囲広いな…」


てかおじいちゃんって遠視じゃねーのか

まあいいや。



「いまだにお前の素顔わかんねーんだけど俺」

「わかんなくていーよ。」


嫌われちゃうからね、とか言ってるけどそんなに顔ひどいのだろうか

俺 ブサ男とか気にしねぇんだけど



「秘密主義の男はやだね」

「変態に言われたくない。」


……言うね。
今度寝込み襲ってやろうか。

あ、でもこいつ鍵かけて寝るんだった(一度実践済み)


眼鏡をかけ直してる藤を見つめる
どうにかしてでも見てぇな



「……?藤、手めっちゃ怪我してね?」


そんな時気づいたこと


青あざとか擦り傷とかすごい
偶然目に入ったけど結構わかるくらいの怪我


「…あー、ちょっと体育で」

「気合い入ってんな…」


どんな体育だよ青アザつけてくるってすげえな


でもおかしいな昨日は土曜日だし藤また外に出掛けてたし…。
金曜日の怪我か。

じっくり見ようと藤に近づこうとしたら怪我してる右手を隠された
なんだよ



「実は彼氏と痴話喧嘩?」

「俺はそういう性癖じゃない。」


……ですよね。

軽くチョップをされて「いでっ」と声が漏れた。



「てかさっさとお風呂入ってきなよ。風呂冷める」

「あ、そうだった。」


風呂の存在忘れてた



慌ててカメラたちを鞄に入れて準備万端にする




明日神崎先輩に会えますよーに!
あわよくば絡みたい!

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