ジュース飲みたいってなったから藤とジュース買いに来た




寮棟の三階広場に並ぶ自販機
一階にもあるけど自分達は三階の方が近いから。


あと一階は混むからあんま好きじゃない




という理由で、来てみたもののこっちはこっちでなんか混んでた。
なんでやねん。





どうした、いっつもカラーンってしてんじゃん





「混んでんな」

「…そうだね。」



隣の藤に言う

チラリと横を見てみるとなんだか更に影を薄くしようとしてる藤


壁際見てなんか避けようとしてる
なんだこいつ人嫌いかなんかか。


てか俺はこの人混みの理由が気になる
ついにコンドームの自動販売機でもできたんだろうか。
なんだそれスゴいな。




「どけっつーの。」


そんな時人混みから聞こえた声

聞きたくもないが、よく聞くイケボ




……なんか混んでる理由がわかってきたぞ



声の方をみると金色の頭がひょっこりでてる。





つまり、まあ、

予想はできるわけで。





なんで


こいつが


ここに


いんだよ





「藤。俺、あいつの顔すら見たくない。」



拒否反応を見せようと藤の裾を引っ張るが、壁際見てツーンとしてる藤


え。


な、なんだなんだ。
え?無視なの?まじで?


それともまじで人嫌いなの?



「藤って人混み嫌い?」

「……別に。」



表情見えないからわかんない
けどどうやら好きではなさそう。
声がな。なんか刺々しいしな。



つかこの混みようあの会長のせいだろふざけんな


俺は純粋にジュース飲みたいんだ。



……ん?てか待てよ。会長がジュースって想像できねぇ。気取ってコーヒーばっか飲んでんのかと思った



つか、

「きっつ!」



ついには俺らがいるところまでもぎゅもぎゅしはじめた。

つまり、会長が近づいてきてるってことだろうか。ふざけんなキツいわ。
あー、なんでなんだ。こんな顔だけの男何がいいんだこんちくしょー



「藤ー。もうこの人達抜かして前行こうぜー」


「……そうだね。」



藤の了承を聞いて、藤を引っ張って前に進もうとする









「あ。」





あきらかにこちらに向かっての声に動きが止まってしまった


あ?



声のした方に顔を向ける。




「(…………げ。)」



そこにはこの人混みの主役の会長がいた。



なぜかこちらを見て目を丸くしてる主役


……え、つかなんでこっち見てんの。



気のせいかと思って、足を進めようとするが進まない。
ちくしょう。


もう一度チラリと会長を見てみると、どうやら藤の方にも目線がいっているらしく。


俺と藤を交互に見て、「あぁ、そうだ。思い出した」と独り言をボヤいた。
………なんだ?



「ハル、行くよ。」


「おお。」



藤の珍しくハッキリした声

腕を引っ張られ前にグングン進む
え、藤、意外と力あんのね。



後ろの方では相変わらず「どけっつってんだろ!」と会長の声が聞こえてきた。

てかあの人炭酸とか飲むんだ。びっくりだわ。
手に持ってたのCCレモンだった。



俺らはお互い目的のジュースを買ってその場を離れる



つか会長がいなくなったら自然とみんないなくなってった




まああの独り言が気にならないわけではないが、どうせ俺には関係ないことだろうし。



…ん、てかまてよ。


今の混雑の中、もしかして可愛子ちゃんと密着したりしてたのでは自分…?



たいてい、ほら、会長の回りって可愛い子がうじゃうじゃ…




「…………。」





ああああ会長と藤に気を取られていたぁあチクショオ





「な、なあ、藤、俺可愛子ちゃんと密着したりしてた?」

「知らない。」



………ですよね。
てかこの返事パターン化されてね?


相変わらず冷たい返答に「はい。」と相づちをする





あーあ。


それにしても嫌なもん見ちまったな…






王子さま面してるヤツの顔を思い出して、少し気分が低下した






どうせなら神崎先輩に会わせろよ!!!

[ 17/78 ]

[まえ] [つぎ]
[mokuji]
[しおりを挟む]