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一瞬、また高校時代を思い出しそうになったが冬彦の存在にハッとした

俺に怒られることを覚悟してか少し俺から離れている冬彦


「冬彦」

「…はい」

「俺が言いたいことはわかるよね」


ゆっくりと静かに言葉を続ける俺に冬彦は小さくうなづく

仮にも俺塾講師なのに。
生徒には宿題やれっていったり宿題チェックしつこかったりするのに。


・・・弟を信頼しすぎたな。




「今すぐこの溜まった宿題たちを終わらせなさい!!終わらせなきゃ今日寝るの禁止!!」

「いやだー!!!」

「じゃあすぐ終わらせろ!」



うだうだ言う冬彦にプリントを渡して机に座らせる

俺が甘すぎたんだ
そりゃあ監視の目がなかったらサボるよな 俺だってサボるわ

プリントは全部でだいたい5枚あった。ということは5日分の宿題?

まじか…
まだ新学期始まったばっかなのに…


「今度から寝る前に机の上に連絡帳と親宛のプリントと終わった宿題を出しとくこと。いいね?」

「・・・」

「じゃないと叩き起こすから。」

「はい」


心を鬼にして冬彦に約束させた
音読カードはマメに出してるのに宿題はやらないのか。…まあ音読はサイン貰えばいいだけだしな…


連絡帳を開いて俺も返事を書く

こんなの書いたことない俺は適当に書くことしかできないが。


『保護者の監視が行き届いておりませんでした。今後このようなことが無いように気をつけます。』

…こんな感じでいいんだろうか…


「冬彦、これ絶対先生に渡せよ」

「はーい」


肘をつきながら宿題をやっている冬彦。なんて反抗的な態度で宿題をやってるんだ。


「わかんないとこ俺が教えるから」

「うん」


見た感じ手は止まってないけど…
授業はまじめに受けてくれてるんだろうか…

冬彦には悪いけど仕事から帰ってきたら無断で冬彦のランドセルを覗くことにしよう。


はあ…保護者って大変だな…


明日なんかは授業参観があるし。


俺も色々準備しなきゃ。





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