いつかこの星が消えても



俺がまだ16だった時の冬




『・・・名前、お揃いだな。』


俺の初めての個別の先生は俺の名簿を見ながらそう言った


無造作に整えられた黒髪に、
男前という言葉が似合う端整な顔


女の子から大人気な塾の先生。
理由は簡単、イケメンだから。



『・・・え?』


突然の話にポカンとしてしまった。顔の方を見ていて、先生の話が全く頭に入っていなかったから。

そんな俺に彼は小さく笑う。


『俺の名前、雨森 千史(あまもり ゆきふみ)って言うの。よろしく雨水 千鶴(うすい ちづる)くん』


そう言ってホワイトボードに書かれた綺麗な文字が表していたのは彼の名前だった。
『雨』と『千』。俺と同じ漢字が2つも入っていることに、彼はそう言ったんだろう。





こんな10年前の事をいまだに俺は覚えている


彼との出会い、その会話、風景。


彼の字は意外にも綺麗だった。
時折揺らぐ煙草の匂い
腕時計はシンプルな黒のベルトもの







雨森千史先生



5年前に別れたのに、どうして貴方は俺の中から消えてくれないの。






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