スラムダンク | ナノ

 25

リョータの隣に座った後、少し経ってから流川くんが隣に座ろうとしてたのだが、それはリョータによって追い返されていた。

「今は違うチームなんだから、あっち行けよな!」

というリョータの言葉に対し、流川くんは小さく舌打ちをし、無言で去っていくという。
そんなシーンを目の当たりにした私は何も言えず。

リョータの言うことも尤もだよな、と思い、申し訳ないが流川くんはそのまま放置させていただいて。


その後は何事も無く試合観戦が終わり、結果は以下の通り。

A対Bは花道と福田くんの息が合わず、途中で交代すればよかったものの、そのままずっと二人とも出続けていたのでその隙をついた牧さんの戦略勝ち。
牧さんと木暮先輩のコンビは何気に上手くいってた。

C対Dは、やはりというか何と言うか。
こちらも長谷川さんと寿先輩の息が合わず、その隙をついた藤真さんの戦略勝ち。
ノブが一人で頑張っていたけれど、やはり一人ではどうにもならないということだ。
越野くんも、藤真さんの指示をよく聞きながら上手く動いていた。


そして次は自分たちの出番。
今、試合をしていた人達は10分間の休憩後、またすぐに試合。
何もしていなかった私達はその時間に軽く練習。




10分間なんてあっという間で、試合開始1分前のブザーが鳴った。
そこで練習を止め、ベンチへと戻って。

「よぉーし、勝つぞー!」

「「「「オー!!」」」」

一応、うちのチームではキャプテンを花形さんにやってもらうことになっている。
そのキャプテンの号令で気合を入れた。
大丈夫、このチームのみんなは強いんだもん。
足を引っ張らないように頑張るぞ!



コートの中央に整列し、第二試合が始まる。

「ではこれより、Aチーム対Eチームの試合をはじめます。礼っ!」

「「「「「しゃーす!!」」」」」

お互いに礼をした後、自分の持ち場へと移動。

ジャンプボールには花形さんが。
相手チームは当然牧さんが。

田岡先生の手からボールが離れ、二人とも高々と飛び上がる。

どっちに来るだろうか。


よく見極めて……よし、今だ!


力はなくても、スピードなら多少は頑張れる。

パシン!と気持ちのいい音がして、私の手の中にはボールが。
顔を上げるとリョータがゴールに向かって走っている。

速攻―――!


「リョータッ!!」

「おうよ!!」

力の限り思い切り投げると、それはちゃんとリョータへと届いて。
ボールを受け取ったリョータはそのまま一度だけドリブルをし、シュートを決めた。

「ナイッシュー!!」

「上手い!」

「ナイスアシスト!」

一気にギャラリーからの声援が巻き起こって、それにはちょっとびっくりしたけど。
牧さんのチームから先制点、取ってやったぞー!

「やるねえ、蜂谷ちゃん!その調子で行こう!」

「ナイスパス!」

仙道くんと花形さん、右と左の両方向からのハイタッチ。

ああー!
やっぱり観ているより自分でプレイしたほうが何倍も楽しい……!!
何度経験してもこの感覚は好きすぎる。

顔のニヤニヤが止まらず、ディフェンスに回ろうとすると牧さんとバッチリ目が合った。

「やるじゃないか。正直甘く見ていたが……これでもう容赦は出来ないな」

「あ、あははー……まだ甘く見といて欲しいです」

「フッ」

鼻で笑った後、ニヤリと微笑まれちゃったよ。
微笑みっていう表現が正しいのかはわからないけど、ちょっと行動に出るのが早すぎたみたい。
もう少し甘く見ていて欲しかったなー、なんて。

でもやっちゃったもんは仕方ない。



序盤はそのまま私たちのチームが勢いづき、なんと前半10点差!
牧さんのいるチームに10点差なんて、凄い快挙!

そして休憩の5分を挟み、残り10分の後半戦。

さすがに体勢を整えてきたのか前半みたいに簡単に点が入らなくなってきた。
それどころかじわじわと追い詰められて。

牧さん一人に仙道くんと花形さんのマークがついたりして、激しい攻防戦が続く。
とてもじゃないけどあの攻防戦の中には混ざれないので、私は蚊帳の外でパスが来るのを待つ。

当然自分にもマークはつくので、それは外すために動きつつ、だけど。



そして残り時間1分というところで2点差に追いつかれてしまったが、その1分間を全力で守りきり、どうにかこうにか勝利を収めることが出来た。

「おあー!きっつー!初戦から全力かよ……!」

「仕方ないさ、あのチームには牧さんがいるんだ」

「リョータも仙道くんも、お疲れー!交流戦とか言っても、やっぱりみんな真剣勝負だよねー」

ベンチに座り、タオルで汗を拭いている二人に話しかけると、二人とも顔を上げて私をじっと見て。

「え、な、何?」

「一番真剣なのは蜂谷ちゃんだろ」

「そうそう、常に『狙ってます』って顔してたくせに」

「ええ!そんな風に見えた!?」

「「見えた」」

うっ……そんな、声を揃えて言わなくても……!
そうだったのか。周りから見たらそんな顔でプレイしてたんだ。

お恥ずかしい。
どうしても優勝賞品が欲しいっていう気持ちが滲み出ちゃってるんだろうか。

次の試合からは少し控えめに……したところで負けるのは嫌だから、それは無理!
な、なるべく謙虚に行くべし!
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