自家発電用サンジ夢 | ナノ

 12

麦わら海賊団がこの世界に来て、しばらくの間話し合いが行われた。
まずはこの世界でのルールをサンジが説明し、私が補足を入れる。
本来ならば私が説明したほうが早いのだが、他のみんなよりも早くこの世界に来ている分、彼の口から聞いたほうがより信憑性が増すと思ったからだ。

それから、船は現在地から動かさないこと。
これは主にフランキーやウソップに向けての言葉だったが、もしかしたら船が現在地から移動すると空間が消えてしまうっていう可能性があるので守ってくれ、とナミが二人に強く言っていた。
もちろん二人は間違ってもそんなことはしないと言ってくれたので、見張りも兼ねてきちんとやってくれることだろう。

二人に関しては私の家だったら好きにうろついて構わないとの許可は出してある。
みんなでここで食事をする場合だってあるだろうし。
その時に二人だけ船だなんて、そんなのは寂しすぎる。

船長がこの世界を冒険したいと言うのだから、一概に私の所為とは言えないが、それでも自分の所為でこんなことになってしまったんじゃないかっていう責任は少なからずとも感じるものであって。
だからなるべく嫌な思いはさせたくない。
…既にウソップに関しては手遅れで申し訳ないけど。


食料に関しても、こちらの世界で調達することになった。
扉が繋がっている限り、船の食料庫には入れることはない。
従ってこっちで食料調達をしなければいけないのが必然になるわけだ。
船を降りて村へ行ってもいいが、タイムラグの問題でその案は却下となった。
ルフィのこの世界の料理をめいいっぱい食べたいっていう言葉も後押しをして。

食料庫に行けないということは、私の家の風呂場にも行けないということで。
風呂に関しては申し訳ないがサニー号でお世話になることになった。
まだサニー号には足を踏み入れてもいないが、なんだか変な感じ。
でもどこかワクワクしてる。


「それにしても、タイムラグもうそうだけど重力の違いとかもあったりするのかしら。何か体が重い気がするんだけど…」
「そう言われてみれば…おれも、さっきから体が重いなって思ってたんだ!」

ナミの言葉にチョッパーが乗る。

「ああ、やっぱこっちではみんな体が重く感じるんだ…サンジなんて昨日、風んぐっ」
「風んぐ?」

風邪を引いた、と言おうとした瞬間、サンジの手によって私の口は塞がれた。
ああ、そうか。
風邪引いただなんてみんなに知られるのは恥ずかしいのか。
ごめんごめん、と手をポンポンと叩くと、頭の上から小さなため息が聞こえて。

「や、なんでもない。みんな体調壊さないように気をつけてね」

ルフィの疑問に誤魔化すように答えると、ゾロからそんなヤワじゃねェだろウチの船員は。という声が返ってきた。
後ろにいるサンジの顔は怖くて見れるわけがない。
適当に笑って誤魔化しておいた。


「そうそう、悪魔の実の能力も使用禁止ね」
「えェー!」
「えェー!じゃなくて。この世界にはそんなもの存在しないの、だから腕が伸びたりするのは有り得ないことなの。万が一使ったらルフィは今後出入り禁止になるけど」
「出入り禁止は嫌だ!よしわかった!我慢する!」

キリッと言い放つルフィを心配そうな顔で見るチョッパーとナミ。

「あら、大丈夫よ。ここでは能力も使えないみたいだから」
「そうなの?」
「ええ、ちょっと試してみたのだけれど」

試したんかい!というツッコミはさておき。
なら何も心配することはないじゃないか。
良かったよ、万が一何かあってゴムゴムのォ!とかやられたんじゃたまったもんじゃない。


「ええー!!ここじゃゴムゴム使えないのか…!なんだよつまんねえなあ」


……本当に使えなくて良かったと、ルフィの言葉を聞いて心底そう思った。


「じゃあ、とりあえずこんな感じで説明は終わり…かな?」
「そうだな、ナミさんやロビンちゃんはともかく、てめェらメイさんに迷惑かけんじゃねェーぞ!」
「「おう!!」」
「迷惑かけてんのはてめぇじゃねーのか」
「んだとこのクソマリモ!」


元気良く返事をくれたのはルフィとチョッパーで、ゾロの嫌味でサンジとは喧嘩が始まりそうな雰囲気に。
それをナミがやめなさい!と拳骨で止める。

ナミはやっぱり最強なんだな、と思っていると、ウソップのジト目が私へと突き刺さる。


「……本当に俺は駄目なのか」
「うッ…」

いかん、流石に哀れすぎるような気がしてきた。

「よ、夜だったらまあ、目立たない場所ならいいんじゃない…かな。この世界の海とかだったら連れてってあげられるよ。………多分」
「ッ!ホントか!?」
「う、うん。多分!」
「いやー、よかった!ホントに何処にも行けないのかと!メイ!ありがとなー!!」
「………いや、まあ、多分、だけどね」


多分、という言葉をここまで無視されるのもちょっとどうかと思う。
でもこれだけ喜んでもらえるのであれば、いつか海には連れてってあげなきゃと思った。




早速外を見に行きたいというルフィの一声で、食料の買い物に出かけることになった。
本来ならば病み上がりのサンジにはおとなしくしてて欲しかったのだが、サンジ一人ならともかく何人も連れて出歩くのはちょっと大変だと思ったので、一緒に来てもらうことにした。
申し訳程度にごめんね、といえばとんでもない、喜んで付いて行くよと紳士的スマイルをもらった。
やっぱりサンジは優しい。

一緒に行くのは言いだしっぺのルフィ、それからロビン、ナミ。
ゾロは酒さえ買ってきてくれりゃいい、と言っていたのでとりあえず外出する気はないのだろう。
チョッパーも行きたそうにしていたが、これだけの人数…しかも大食漢のいるメンバーの食材を買い込むとなると荷物が大量になる。
そうするとチョッパーをぬいぐるみのように抱っこしてあげることも難しくなるので、またの機会にしてもらうことに。
お土産を買ってくると言えば、素直に頷いてくれたので思わず頭を撫でたらお決まりの台詞が聞けた。
な、なんだよ嬉しくねーぞコノヤロー!っていうアレだ。

ルフィとロビンはいいとして、ナミのオレンジ頭は奇抜なので帽子を被ってもらうことに。
金髪はまだ居てもオレンジはそう滅多に居ない。
しかもこんな綺麗な色。
説明すればナミは納得してくれて、言うとおりに帽子を被ってくれた。
洋服自体はそれぞれの冒険スタイルから普通のものに着替えてもらう。
この世界と向こうの世界の普通の服装がそうかけ離れているわけじゃないのでその部分に関しては幸いだったと言えよう。
サンジも自分の服が持ってこれる、と嬉しそうだった。

2016.8.26
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