Novel
1:考える暇もなく

先日買ったばかりのDQヒーローズ2。
現在アルバイト生活にてそこそこ時間がある暇人ゲーマーの私は、割とボリュームのあったであろうこのゲームをたった3日でクリアしてしまった。
いや、その後のやり込み要素もそこそこあるからまだ楽しめるっちゃ楽しめるんだけどさ。
しばらくしたら追加要素も入るし、アップデートしてから強くてニューゲームをやろうかな、なんて考えていたら。




「…放置して一か月も経ってしまった…」

独り言を呟きながら、ゲームの電源を入れる。
昨日まで遊んでいたディスクと入れ替えて、ヒーローズ2のディスクをセットした。
もう一か月も経ってるんだから、それなりに追加コンテンツがたくさん来てるはず。
そう思いながら、アップロードをしますか、の問いかけに「はい」の返事を押す。

多少時間がかかると思うので、その隙に冷蔵庫からジュースを取り出し、戸棚からチョコレート系のおやつを持ってくる。
最近発売された新商品で、食べるの楽しみにしてたんだよね〜。
ゲームをやりながら、好きなお菓子を食べる。
これってなんて至福の時間なのだろう。

待ち切れずに少しつまんでいると、画面が切り替わったのでコントローラーを手にした。

強くてニューゲームを選択し、初回はラゼルでプレイしたので今回はテレシアで、と。
今日はバイトも何もないし、一日このゲームを満喫しよう。
そうして進めていくことしばらく。

アプデされた項目ってなんだったんだろう?
クエストも真新しいものは見当たらないし…おかしいな、と思いつつも、難関の大峡谷のステージへと辿り着いた。
難関といっても、それはレベルが低かった頃の話で。
強くてニューゲームはなんの苦労もなくサクサク進んでいくので、ある意味爽快だ。

当然一度目の大峡谷はすんなりと終わって。
オレンカ王が宝玉を使い、自分を犠牲にするイベントシーンを見ながらうっかり泣きそうになる。
この王様好きだったから、ここで死んじゃって本当に悲しかったなあ…。
王の死は無駄にはしませんよ、と、心の中で思いながら、古代兵器を取りに霊峰レーゲンまで進めた。

試練のほこらではベリアルの試練まではすんなりと終わったが、ここから自分の知らないことが起こったのだ。
ストーリーの流れが違うというか、新キャラ追加されましたかね?というか。
アトラスの試練ではアトラスを倒せば良かったはずなのに、もしやこれがアプデ要素か!?
なんでも古代兵器を使うにあたって、異界の神子とやらを召喚しなければいけないらしい。
誰だ異界の神子って。
神子っぽいキャラだと、ミネアはここにいるし…あ、ミレーユ?ミレーユ追加になった!?

とりあえずやらねば話が進まないので、アトラスの試練に挑戦する。
と言っても、アトラスの前に描かれた魔法陣に向かって、みんなで祈りを捧げるとかなんとか。
あれ、これってプレイヤー置いてけぼりイベントじゃないの?
いや…まさかね。祈りのシーンが終わったら何かしらの戦闘に入るんだろ、わかってるよ!どんな相手と戦うのか楽しみだよ、じわじわたぎってきたよ!

みんなが一生懸命祈っていると、魔法陣から光が漏れ始めて。
画面全体が真っ白になったかと思うと、その光の影響か、自分の周りまでもがまるで光に包まれたかのように真っ白になった。

「え、テレビの光の影響ってこんなにあるもんなの」

その言葉を置き去りにし、私は自室から姿を消したのである。







*****


「今回はなんか頼りなさそうな感じのヤツが来ちゃったな」
「ちょっと、見た目で決めつけるのってとても失礼な事だって何度言えばわかるのよ」
「たまには素敵な殿方とか来たりしないのかしら」
「姉さんはそればっかり…」
「まあまあ、今回もこうやって成功したことですし、早く大峡谷へと戻りましょう」
「そうよ、グズグズしてたって仕方ないもの」
「にしても、呼び出しておいて置いてけぼりは可哀想じゃないか?」
「説明なんざいつだって出来るだろう。早く行くぞ」


……状況が、まったく飲み込めないんですけれども。
私、さっきまで自分の部屋でゲームやってたんですが。
そのゲームの中に出ていたキャラ達が、何故私の目の前にいるんですかね?

「言っておくが、これは夢でもなんでもないぞ」

言いながら私を立たせてくれたのはテリーで。
あ、意外に優しい、なんて思った瞬間、すぐにパッと手を離されたので、私は再び座る体勢…というか、尻餅をついた。
普通に痛い。
…痛い?

「あの、どなたか私を叩いてい「ホラ」ったぁぁぁぁぁい!!」

最後まで喋ってないのに!
それなのに、ラゼルが思い切り頭をバシンと叩いてきたよ!?
どういう扱いなの、そして何なのほんとにこれ!!

「そーゆーの、もう聞き飽きたんだよ。とりあえず説明は後でテレシアがするからさ、俺たちと一緒に来てくれ」
「え、ええ!?」

半ば引きずられる…いや、引きずられるかと思ったら「ちょいとごめんよ、」と、ハッサンに抱えられてしまった。
無理やり抱えられるがまま、私に抵抗する気力もなく。
勢いに負けて、テレシアが説明してくれるまでおとなしくしてようと心に誓ったのだった。

2016.6.14
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