H×H | ナノ


▼ 7:旅団×遊園地×勝負

雲ひとつない青空。
爽やかな風が吹く本日、まさに絶好の遊園地日和!
先日クロロと約束したとおり、あたし達は遊園地“マウンテン・ハイランド”にやって来た。

メンバーは、思ったとおり増えた増えた。
当初4人の予定だったのにね。
クロロ、シャル、フェイ、フィン、ノブナガ、ウボォー、ヒソカ、マチ、パク、シズク、そして翔とあたしの12人。

コルトピとボノレノフはこっちの世界にあんまり馴染めないみたいで、一緒には来なかった。
そんな彼らでもあたしの作った食事は食べてくれるから嬉しいけど。
フランクリンは家で留守番しててくれるって。
おみやげたくさん買ってってあげなきゃ!

交通手段はシャルの運転で、ミニバスを貸切。
手配もシャルが全てやってくれた。
まあ、やれって言われても解らないけどさ。
どうせ翔も解らないだろうし、シャルが色々やってくれるのは助かる。
さすが、手際がいいというかなんというか。

バスの中ではヒソカが常備しているトランプで遊んだりした。
運転しているシャルには悪いけど、遠足気分で楽しいんだもん。
帰りは疲れて寝ちゃいそうだけど、さすがにそれはシャルが可哀想だから頑張って起きていられるだけ起きてようと思った。

チケットは前もってコンビニで予約していたので窓口の機械に通し、一日フリーパスに替えてもらうだけ。
フリーパスは自分の写真が写るようになっていて、みんなそれぞれ写真を撮った。

…これ、後で記念にみんなからもらおう。
家宝にできそうだよ、旅団の写真なんて!

そして前日配布済みの財布に入れる用のお小遣いを手渡した。

「はい、これが今日のみんなのお小遣いですよー!計画性をもって使いましょうね!」

引率の先生になった気分だ。

「言われなくたってわかってるぜ!」
「そうだぜナオ!大丈夫だから心配すんなって!」
「フィン、ウボォー…君達二人が一番心配なのだよ、あたしは」

そう言うと他のみんなは笑っていた。
こんなほのぼのした旅団って、ある意味怖いよね。
でもこんな風に楽しそうにしている姿を見れるのって、あたし達だけの特権だったらいいなって思う。
普通にハンター世界で出会ってたらきっと関りすら持たなかっただろう。

現実世界ではクロロの命令に従い、あたしと翔の言う事もきちんと守ってくれている。
当然、殺しや盗みはご法度で。
金銭面については全く問題ないので、盗む必要もなかったし。

そんな今日のみんなのお小遣いは一人一万円。
一般家庭からしてみたら、なんとまあリッチなんだろう!っていう声が聞こえてきそうだけれど、いいんだ!これがウチのやり方なんだ!
中には一万円でも足りなそうな人もいると思うの。
たくさん食べるウボォーとか特に。

「じゃあ早速アトラクション回ろうよ!今日は空いてるみたいだし、たくさん乗りまくろうぜ!!」

翔が場をまとめ、ツアーのようにぞろぞろ動く団体。
ちょっと目立つけどそんなの気にしなければいいだけの話。

「あ、そうそう!コレもみんなに渡しておくよ!」

言いながらシャルが袋の中から取り出したのは、小型のトランシーバーみたいなものだった。
ちゃんと人数分用意されている。

「これなに?見たところトランシーバーの様だけど」
「うん、ナオ。そのまんまだよ、これはトランシーバー。昨日人数分作ってみたんだ。絶対誰か迷子になるって!」
「はは、誰だよ迷子になりそうなヤツなんて!」

その時、そう言ったフィンクスを見ながら誰もが『オマエだよ』と思ったに違いない。
シャルの判断は正しいだろう。

「でも、あたしと翔は携帯持ってるからそれを使えばよかったのに」
「あれ、ナオはみんなとおそろい嫌だった?」

お、おそろい!
旅団とのおそろいなんて、嫌なわけがない。
どうやらシャルはあたしのツボを突くのが上手いらしい。
ただ単にあたしが単純な性格してるっていうのもあるかもしれないが。

「いやいやいや。そっか、みんなとおそろいなんだね!有難うシャル!!」
「それにこれ、手作りだからタダで使えるしね」
「ということは電波はどうなるんだ?」

クロロの質問にシャルがニッコリ笑った。

「もちろん、自動受信」

それって要するに、その辺の電波を勝手に拝借してるってこと?

「…電波泥棒?」
「褒め言葉を有難う、ナオ」

……盗賊に泥棒は褒め言葉なのか。
うーん…いいのかな。
でも直接人から物を奪ったとか、そういうわけでもないし。
ま、いっか!

「さ、何から乗る?」

シャルが全員分トランシーバーを配布し、それを受け取ったパクが言いながら園内のマップを取り出す。

「この、“処刑の館”ていうの行てみたいね」

最初に意思を示したのはフェイタンだった。
でも、最初からホラーモノはちょっとね。
ホラーは苦手分野なので行かないに越したことはない。
フェイタンには悪いけど、他の人の意見を通させてもらおう。

「最初からホラーはやめようよ。他は?乗りたいものないの?」

するとムスッとしたフェイタンの後ろから、次に答えたのはシズク。

「はーい、あたしここ行きたい!」

そう言って指を指したのは“エイリアン”という所。
なになに。

闇をくぐり走り抜けるコースターを乗りこなしながら、迫り来るエイリアンに照準を合わせる緊張感。エイリアンを打ちまくって高得点を稼ごう。

だって。
ふむ、エイリアンっていう名前がちょっと気になるけど…これはこれでおもしろそうじゃん?

「じゃあ、これでみんなで得点を競うっていうのはどうだい」
「ヒソカもたまには良い事言うじゃないか」

マチの言うとおり、ヒソカにしてはまともな意見。
本人は『心外だな』なんて言ってるけど、ヒソカって変態思考な印象があるからマトモな意見は珍しそうなんだもん。
偏見かもしれないけどさ。

「それなら折角だから賭けようぜ!一番得点の低かったヤツがみんなにジュース奢りってのはどうだ?」

フィンクスの口から《賭け》という言葉が出た瞬間、全員の目がキラリと光ったのは言うまでもない。

ジュースというのはショボイ…というか、天下の幻影旅団の言葉にしてはいいのかそれで?という感じだけれど。
たかがジュースでも、みんなの今現在の手持ち金は一人一万円。
全員分出してたら一気に小遣い減っちゃうしね、意外にもダメージ大きいかも!

「よーし、その賭け乗った!絶対負けねぇぜ!」
「オレは確実に一位だな!!」

熱くなっているのはノブナガ、ウボォー。
フィンとこの二人は悪ガキって感じがする。
実際はガキっていえる年齢じゃないけどさ、行動はガキっぽい…と、思う。
でも、内心フェイタンやマチも燃えてそう。
あたしだって負けないんだから!

「でも、これ二人乗りだからペアになってやらねーと」

翔が突っ込むと、ヒソカがトランプを取り出した。

「じゃあボクのトランプで決めよう。同じ絵柄を引いたものがペアってことで」
「賛成。でも、ヒソカだとズルしそうだから私がトランプを持つわ」

ヒソカは詐欺師…違った、奇術師だもんね、念が使えなくてもイカサマなんて簡単にできちゃいそうだし。
パクがやってくれたら公平にできるからいいかな。

「じゃあ、みんな一枚ずつ引いて頂戴」

パクがそう言うと、みんな一斉にカードを引いた。

そして出来たペアはこれ。

1.クロロ・パクノダ
2.ウボォーギン・フィンクス
3.ノブナガ・ヒソカ
4.マチ・翔
5.フェイタン・あたし
6.シャルナーク・シズク

このペアで、負けたペアがみんなにジュースを奢る、と。

あたしはフェイタンとかぁ。
フェイタンだったら百発百中っぽいな、よしよし。

「ナオ、足引張るなよ」
「えー、自信ないなぁ」
「負けたらナオが払うなら許すね」
「いやいや、自信はないけど負けないから!よろしくフェイタン!」
「フン、望むところよ」

あたしだってやるときはやるのだ!
手ごわいのはきっとクロロとパクのペアだな。
マチと翔もいいトコいきそう。
翔はゲーム大好き人間だし、射的とかうまいしなあ。

あ、翔…心なしか嬉しそうにみえる。
もしやマチと組めて嬉しいとか?
ふぅん…今度からかってみよう。
今すぐにでも実行したいけど、マチに怒られるのは嫌だから我慢。

シャルとシズク、ノブナガとヒソカは妥当な感じ。
一番ダメそうにみえるのは、ウボォーとフィンのペアだな。
二人とも個々の腕はいいだろうけどさ、お互いミスったときに喧嘩になりそうだし!

「じゃあ、乗るのはカードの数字の大きい順でいいな」

クロロの言葉で乗る順番も決定し、早速建物の中に入る。
日曜にしては人はそこそこ少なく、然程待たずして乗ることができた。

「ふむふむ、これをこうして……■が10点、▲が30点、●が100点なのか…」
「●だけを狙うよ」

四角い宇宙船みたいな乗り物に乗り込み、明るいうちに説明に目を通す。

「でも、●だけを狙うって言っても、得点が高いだけにそんなにあるのかな?」
「ハ、あろうがなかろうが●だけを狙うね」

おいおい、フェイタン言ってること滅茶苦茶だよ。
とにかく●をみつけたらそれだけに狙いを定めたらいいってことだよね。

「よーし、行くぜフェイタン!」
「ナオ、キャラ変わてるよ」

何と言われようが、やるからにはやるぜ!
乗り物がカーテンをくぐると、そこからはエイリアンの人形がたくさん動き回っていた。

「わっ、けっこうグロ!」
「なかなか動きが素早いね」

意外にも本格的っぽい造りに驚きながら、一生懸命的を狙って備え付けのビームライフルで撃つ。
当たると宇宙船の液晶に得点が加算されていく仕組みだ。

「よっしゃー!100点!」
「あああ、結構すばしっこいなコイツ!!」
「ちょっ、それオレが狙ってんだっつーの!!」
「うっせーな、早いモン勝ちだ!!」

乗り物は順番に流れていくのに、そこかしこからみんなの声が聞こえる。
最後の二人は明らかに仲間割れっぽいけど。
しかもどんだけエキサイトしてんだ。
でも、みんな楽しそう!

「よし、これで5000点!フェイタン、あとちょっとだからガンバロー!!」
「誰に物言てるか、ワタシもう8000点ね。ナオこそもう少し頑張るよ」

げ、本当だ。
チラリとフェイタンの得点を盗み見すると、8000、8500、9000・・・もう少しで一万いきそうじゃないか…!
しかも有言実行で本当に●しか狙ってないし!
余計なトコ見てたらやばい!
もうすぐ出口だ!!

あたしは最後の悪あがきにライフルをめちゃくちゃに振り回した。
下手な鉄砲数撃ちゃ当たる、ってやつ!

「あー…結局あたし6300点…フェイタンは…」

言いながら横目でフェイタンを見ると、ニヤリと笑った。

「13600」

ううっ…あたしの二倍以上…

「これで負けたらナオの所為よ」
「言われなくてもわかってますー」
「最後にあんな無茶な振り回し方するから悪いね」
「だって…あれだけたくさんあったら当たるかな、って思うじゃん!」
「だからナオは馬鹿て言われるね」
「あたしを馬鹿呼ばわりするのはフェイタンだけだと思うんだけど。もう、酷いよフェイタン!本当の事言うなんてさー…」
「本当だたか、それは済まなかた」

冗談に本気で謝るなよ兄さん。
余計に凹むじゃないか。

フェイタンと話をしながらも、次々と降りてくるみんなと合流し。
そして結果発表の時間となった。
二人の合計点数をそれぞれ言い合う。

1.クロロ・パクノダ・・・100900点
2.ウボォーギン・フィンクス・・・5730点
3.ノブナガ・ヒソカ・・・12720点
4.マチ・翔・・・20860点
5.フェイタン・あたし19900点
6.シャルナーク・シズク・・・23800点


一番のビリチームは予想通り、ウボォーとフィンクスのペアだった。

「だってこいつがデカイから動くたびにオレにぶつかってくるんだよ!」
「フィンクスだって体乗り出してたじゃねーか!!」

ぎゃーぎゃーわいわいうるさい二人をマチが制す。

「うるさい!男なら素直に負けを認めな!」
「そうそう、フィンクスが言い出したんだもんね。ジュースおごりって!」

マチの後ろからシズクも追加攻撃。
女二人から言われ、さすがのウボォーとフィンクスも大人しくなったようだ。
シュンとしてる姿が小さく見えて、なんか笑える。

あたしとフェイタンは4位。
ちょっと悔しい結果になっちゃったな、ごめんよフェイタン。

「それにしても…クロロとパクノダって、異常だよ」

翔の言葉にほぼ全員が頷いた。
確かにね。
10万点超えるって…有り得ないよ!!
バケモノだ!
それか、機械が故障してるんだ!!
そうだ、そうに違いない!!

…って事をクロロに言ったらチョップされた。
いや、手刀を落とされた、って言った方がカッコイイからそう言っておこう。
どちらにしろ痛い事には変わりない。

「ひどいよクロロ、か弱い女の子に手刀をくらわすなんて…!」
「か弱い?はは、寝言は寝て言うんだな」

爽やかに言ってのけましたよ。
フェイタンの馬鹿扱いといい、クロロといい。
あたしのこと女扱いしてないんじゃないの?
ほんと酷いんだけど。
逆に思い切り女扱いされるっていうのも嫌だけど、それでもさあ。
もうちょっとなんかこう、ねえ。

膨れた顔をしていたら、クロロの手があたしの頭にポンと乗っかった。

「本気にしたのか?嘘だ、嘘」

そのままゆっくりと撫でられる。

「あー…ううむ…子供扱いされてる感じ。今はあたしのほうがみんなのお世話役なのに」
「そうかそうか。それは悪かったな」

うーん。
相手にされてるんだかされてないんだか…でも、頭を撫でられるのは嫌じゃないし、いいけど。
寧ろクロロの手が大きくて心地良いから嬉しい。





「じゃ、次は何処にいこっか!」

気を取り直して、みんなに声をかける。
次に行きたいところを答えたのはノブナガだった。

「ジェットコースターの類がけっこう多いみたいだからな、とりあえず一つ乗っておこうぜ!」
「お、いいねー!賛成!!どれどれ、ハイウェイコースター?」

翔がノブナガに近寄り、マップを覗き込む。

「じゃあ、ハイウェイコースターに向けて、行こー!!」

prev / next

[ back to top ]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -