H×H | ナノ


▼ 9:旅団×遊園地×トリックタワー

やってきましたトリックタワー!
だがしかし、ハンター世界みたいに何百メートルもあるわけではない。
そんな高い建物きっとこの世界にはないからね。
あれ一体何メートルあるんだろう。
世界一高いドバイの超高層ビルが800メートル超えで…それよりも高いのかな。

「ここはどういうアトラクションなの?」
「ここはねー、数ある入り口から上を目指してなぞなぞを解いていくのだよ!」

マチの問いかけに自信満々に答えるあたし。
すると後ろからシャルがやってきて、補足説明をした。

「それで最上階にある黄金のティアラを見つけることができたら、タワー攻略完了というわけ。入り口は全部で10。階数は5階だから、5個のなぞなぞを解けばいいってことだね」

なぞなぞ。

決して得意なわけではないけれど、この世界の問題とかが出たとしたらあたしって有利じゃない?
旅団に解けるわけないしさ…って、あ。
翔もいたこと忘れてた。
で、でも!翔には負けるはずがない!…と、思いたい。姉の威厳に賭けて。

「へぇ、これ競争形式にもできるんだね。時間を予約したら30分だけ貸切状態にでき「してきたぞ」
「…は?」

シズクが園内マップのトリックタワーの案内を読みあげていると、その横からクロロが。

「もー、団長!人の台詞遮らないで下さいよ」
「落ち着けシズク。してきたってどういうことだ、団長?」
「だから貸切予約をしてきた、ってことだノブナガ」
「あ!?今か!?」
「ああ」

みんな呆然とクロロを見ている。
だってクロロ…行動早すぎだよ!
しかもちょうどお客さんが出た後だから、今直ぐタワーで遊べるらしい。
タイミングも絶妙じゃないか。
有難いことなんだけど、それだけクロロも遊びたかっただけなのかな…いや、クロロに限ってそんな子供っぽいことは……いやいやまてよ。

遊園地に行きたいって言い出したの、クロロだった。

………遊びたいんだね、クロロ。
いい年こいた大人が…いや、もう何も言うまい。

「で、もちろんバトル形式にするんだろ?」

バトルって言い方が若干物騒になっているけど、そこはあえてスルーしておこう。

「そうね。入り口は10個もあるから今回も二人ペアでいいわね?」

パクノダの問いかけに全員一致で賛成し、それぞれトランプを引いた結果今回はこうなった。

1.パクノダ・翔
2.ヒソカ・クロロ
3.マチ・ノブナガ
4.シャルナーク・あたし
5.フィンクス・ウボォーギン
6.シズク・フェイタン


おお、シャルとだ!!頭のいいシャルとだ!!
これならきっと勝てるはず!

「シャルー!よろしくね!」
「あれナオ、嬉しそうだね?」
「あたりまえじゃん!だって頭のいいシャルと組めるなんて、タワー攻略にもってこいでしょ」
「あ、そういう意味」
「え?何なに?どういう意味?」
「いいや、なんでもないよ。頑張って一番にティアラを取ろうね」
「うん!もちろん!」

でも危険なのはパク・翔チームと、ヒソカ・クロロチーム。
ここは頭よさそうだし…あれ、ウボォーとフィン…また同じチームになってる。
こりゃ再びビリ決定だな。

「ねぇねぇ、今回も賭け「「賭けん!!」」

あたしがわざとらしく今回の賭けを提案すると、ウボォーとフィンは自分の頭の容量を知っているため声をそろえて力強く否定した。
その反応に爆笑している人もいれば、失笑している人もいたり。

「体力ならいいが頭脳はダメだ、ダメ!」
「そうそう、頭使うなんてな…オレらからっきしだぜ」

オレ達、最上階まで辿り着けんのかな…なんて呟いていたので、ちょっと可哀想になった。
でもゲームはゲームだし、例え賭けてなくても勝ちたいものは勝ちたい。
というわけで情けは無用ってことで!

「じゃあ係員のところに行って説明受けようか」

こっちだよ、とみんなを係員のところまで誘導し、そこで1ペア一枚のカードを貰った。
なんだかハンターライセンスみたいでちょっと嬉しい。




「これより30分間、お客様方の貸切でタワー攻略を目指していただきます。ご存知の通り競争形式になっておりますので、一番最初にタワーの最上階のなぞなぞを解いたペアに黄金のティアラを得る権利が与えられます。そして、タワーの上に進むためには今お配りしたそのカードが必要になります。設置してある機械にカードを差し込み、ディスプレイ上に現れるなぞなぞにお答えください。回答はタッチパネルに文字を打ち込む形となります。なぞなぞの設定を上・中・下のいずれかにできますが、いかがいたしましょうか?」

係員が説明するとウボォーとフィンはぶんぶんと首を振っていたけれど、その思いも届かずクロロはあっさりと『上で』と言い放った。
その瞬間二人の肩がガクリと下がったのは言うまでもない。

「では、それぞれの扉を選んでください。はじめに扉が開いたらスタートとなります。それではみなさま、ご検討をお祈りいたします!」

手を振ってみんなを送り出した係員を後に、トランプの数が少ないペアから好きな扉を選んでいった。

「あたし達はここでいい?5の扉」
「OK」

シャルはニッコリと微笑み、さりげなくあたしの手を握った。

「あの…シャル、手…」
「ああ、これ?だって買い物行くときに玄関出る癖でさ、ナオと一緒に扉に入るときはこうやってないとなんか落ち着かないんだよね」
「あ、そうなんだ。じゃあ、まあ、いっか」

なんだなんだ、そういう事か。
期待して損した。
チッ。






『ようこそトリックタワーへ。数々の難題を解いて、黄金のティアラを自らの手に収めよ…諸君を歓迎する』

扉の上のスピーカーからヘンな声が聞こえて、扉はゆっくりと開いた。

「さ、開いたね。ナオ、頑張ろ!」
「うん、絶対一番に行こ!」

扉の向こうには、よくゲーセンにあるような占いの機械みたいなものが置いてあって。
そこにカードを差し込むところがあったので、カードを入れた。


“なぞなぞ第一問レベル1”

最初にディスプレイに表示されたのはこの文字。

「レベル1って…これ、一階毎にレベルが上がっていくのかな?」
「うん、そうみたいだね。えーっと、なになに?A町からB町へ90分で行けました。2回目も全く同じ方法、道のりで行ったのに今度は1時間半もかかりました。なぜでしょう?」
「…確かタワーの設定って、クロロが上にしてたはずだよね…?何この小学生レベル」

上級にしてはバカにしてんのかっていう問題だぞ。
遊園地だし子供が多いからだと思えば納得もいくけど、子供も大人も楽しめるようにレベル設定があるんじゃないの?
もうちょっと難しい問題を想定していたのに、肩透かしを喰らったようなもんだ。

「してたね。でもまあ最初だからこんなもんじゃないの?きっと最上階はレベルが高いよ。で、そう言うからには答えは解ってるんだよね?」
「大丈夫、こんなの簡単すぎだもん」

言いながらシャルと繋いでない方の手でディスプレイに答えを入力する。

「90分と一時間半、言い方が違うだけで時間は同じ、と」

『正解。次の扉が開きます』

正解を入力すると横にあった扉が開き、機械からカードが返却された。

「ナオ、今度はあそこにカードを差し込むみたいだよ?」

開いた扉に入ると、今度はその中に差込口があったのでそれに入れる。
ガコン……ウィィィ――――ン、という音がして、あたし達の乗っていた床が動いた。

「あ、なるほど。これがエレベーターになってるんだ」
「へぇ…道理で階段なんかも見当たらなかったわけだ。結構凝ってるね」

二人で感心していると、二階に着いたようで。
一階にあったのと同じ、問題の機械の前に移動する。

“なぞなぞ第二問レベル2”

「朝には絶対食べられない物が2つあります。それは何でしょう?」
「なんでナオが自信満々に質問してくるのさ?」
「いや、ほら、だって。さっきはあたしが答えたから。今度はシャルが回答する番でしょ」
「はっはーん。さてはナオ」
「ん?何?」
「わからないんだ?」

おいおいシャルさんよ。
今のは流石にイラッときたよ。
何だそのどうせ出来ないんでしょ、じゃあオレが答えてやってもいいけど的なドヤ顔。どこまでも馬鹿にしてくれるわけですね。
乗せられるのも悔しいが、答えてやったろーじゃない!
昼食と夕食…と。
よし、打ち込み完了。

「へん。どうだ!」

シャルに質問したとき同様、自信満々にディスプレイを指さすと、シャルはお腹を抱えて笑っていた。

「あっはっは!!ナオってば単純すぎだよ!!いや、答えは間違ってないけどすぐ乗せられるところとかさ…あっはっはっはっは!!」
「ええー!?笑いすぎだよこのやろう!!」

乗せられてたのはわかってるっつーの!
確かに単純だよ、簡単に乗せられちゃうよ!
でもさっきみたいな挑発をスルーするのも悔しいじゃん!
……ああ、これがあたしが大人になれてない証拠なんですね、わかります。
それにしても笑いすぎだわこのやろう。

悶々としていると、いつの間にか勝手に入力完了のボタンが押されていて。
さ、上行くよ。なんて言われて繋いだままの手を引っ張られた。

こうも簡単にあしらわれるなんて、本当悔しい。

「シャル、今度おちょくったら今後一週間の夕飯抜きだからね」
「え、それは困る!まあ、そう怒らないでよ。それだけナオが可愛いって事なんだからさ。ね?」

おちょくられて可愛いだなんて、そんな事があってたまるか!
と、まあ、そんな反抗したい気持ちとは裏腹に、きっとあたしの顔はほんのり赤い。
あたしって奴はどうしてこう単純なんだ…!!
シャルは無言のあたしを肯定ととったのか、ニコニコ笑ってエレベーターにカードを差し込んだ。

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