H×H | ナノ


▼ 8:旅団×遊園地×ジェットコースター

やってきたのはハイウェイコースター
その名の通り、高速道路並み…いや、それ以上にものすごいスピードで駆け抜けるコースターだ。

「おおー、やっぱジェットコースター系は結構混んでるんだね」

シャルが人の列を見渡す。

「そういえばハンター世界には遊園地ってないの?」
「いや、あるよ多分」

あたしが問いかけると、答えてくれたのはシズクだった。

「多分?」
「うん、多分。あたしたち、あんまりそういうトコロに遊びに行ったりしないから」

あ、そっか。
旅団の仕事は盗賊だから、あんまり表立って遊んだりはしないよね。

「じゃあ、この世界でたくさん遊ぼう!ね、いいよね?」

そう言うと、シズクはへにゃっと笑って。

「うん、そうだね。ナオに楽しいところ、たくさん連れてもらいたい」

なーんて可愛い事を、明るい声で言ってくれた。
シズクが笑ったところなんて初めて見た!!
なんかテンション上がっちゃうよー!嬉しい!!

「お取り込み中悪いんだが、また二人乗りだぜ。ペア決めよう!」

へへ、とシズクと二人で笑いあっていたら翔に割り込まれた。
いいじゃない!女同士の友情深めてもさ!
あんただってウボォーとかフィンクスとかノブナガとか仲良くなってるくせに。

「じゃ、またボクのトランプの出番だね」

言いながらヒソカはパクノダにトランプを手渡した。

「はい、じゃあみんな引いて」

そして今度のペアは。

1.ノブナガ・翔
2.フィンクス・パクノダ
3.あたし・ヒソカ
4.クロロ・ウボォーギン
5.フェイタン・シズク
6.シャルナーク・マチ

うわお、ヒソカと!
うん、実はこれまでヒソカとはあんまり話してなかった気がする・・・!

「今度はナオがボクのペアだね。ヨロシク◆」
「あっ、ナオ!ヒソカに近寄ると妊娠するよ」

えー!?
いくら奇術師でもそんな馬鹿な…!

「クックック、酷いなぁマチ。そんなことないってば」
「わっ」

笑いながら、ヒソカはあたしの肩を抱き寄せた。

「あー!!ナオが妊娠しちまったー!!」
「ちょっ、ウボォー!!そんな事叫ぶな!!こんなんで妊娠するはずないっつーの!!」

肩を抱かれながら、ウボォーやみんなに否定する。
肩を抱かれただけで妊娠するとか、どんな子供の冗談だよ!
信じる阿呆がいるのか…!

「だーいじょうぶだってば、妊娠なんてしないって。なんなら今夜、本当に…◆」

!?
耳元で囁かれ、あたしは咄嗟にヒソカから離れた。
肩に回された手からサッと逃げる感じで、下に。

「ヒソカ…?」

恐る恐る名前を呼ぶと、不敵な笑みを浮かべて。

「クック、冗談冗談◆」

あの笑顔の裏には何があるのか…やっぱヒソカってちょっと怖いかも…。
でもヘンな髪型やヘンな服装とは違って、今はこの世界の服と髪型も下ろしてて本気でカッコイイと思う。
だから肩を抱かれたときには不覚にもドキッとしちゃったよ。
このヒソカだったらクロロやフェイタン、シャルと同様ストライクなのに…性格に難アリかもしれないけど。
や、でも味方でいる分には悪いヤツじゃないんだろうなあ、と思う。

「ヒソカ、冗談も程ほどにしないとナオが参ってしまうぞ」
「やだなぁ、クロロにだけは言われたくない台詞だよ」
「はは、確かにそうかもな。さ、列の後ろに並ぼう」
「……はいはい◆」

なんかこの二人って…どういう関係なんだかイマイチわからん。
お互いがお互いを探り合っている?
ヒソカはクロロと闘うために入団したんだから、仲間意識っていう感じではないのかなぁ。
やっぱ原作で考えても仕方ないのかな、実際シャルだってハンターライセンス持ってないわけだし。
こないだ考えてたようにハンター世界はハンター世界でも、原作と平行の世界の人達とか?
ああ、ダメだ。
考えれば考えるほど混乱する。

「どうしたのナオ。置いていかれちゃうよ◆」
「あっ、わ!待って待って!!」

そんな考えもその場で頭から消え去り、あたしは先行くみんなの後を追った。







並んでるといっても、このコースターはスピードがあるだけアトラクションの時間が短い。
稼動数も多いし、順番は早く回ってきた。
丁度6列あったので、あたしたちは12人で一緒のコースターに乗ることが出来た。

「これ、どのくらいのスピードが出るんだろうね」
「さあ、ボクもこんなの初めてだからね…楽しみだよ◆」

他愛のないおしゃべりを隣のヒソカとしていると、係員のアナウンスが聞こえた。

『それではみなさん、高速の世界へ、行ってらっさーーーーい!!』

「今…あの係員、行ってらっさいって言わなかった?」
「あぁ、確かに言ってたかもねぇ。ナオ、言うとおりにちゃんと前に捕まってないと舌噛むよ◆」
「そんなのわかって……ぎゃっ!!」

バシュッ!!という音と共に、コースターは物凄い勢いで発車した。
ていうか!
出だしから早いんならそう言えっつの!!
え、もしかして説明してた?
ヒソカとお喋りしてたからいけないの?
ヒソカのせいなの!?

「わあああああああああああ!!」
「くくく、楽しいねぇ◆」
「すげースピードだなー!!」
「気分爽快だぜ!!」
「何これ、すっごい楽しいー!」
「風の抵抗が凄いわ!!」
「ひゃああああああ!!」

「ぐぉわああああああああああああ!!」


「のおおおおおおおおおおおおおお……!!」






「……………」
「姉ちゃん…一人でヘンな声出しすぎだぜー?」

降りたときには足がガクガク震えて。
ヒソカに支えてもらいながらコースターを降りた。
肩で息をしているのもあたし一人である。

「っていうか、何でみんなそんなに平然としてたの…!!あんなに凄いスピードだったのにさ…」
「え、だって念が使えたらもっと早く走れるし。っていうか普通に早く走れるし」
「乗り物としては今まで乗った中で一番早かったけどな」
「もうちょっと長くても良かったんじゃないかしら」
「子供騙しみたいなだな…こんなもんだろう」

シズク、ノブナガ、パクノダ、クロロの順でケロリと言い放つ。
そうでした、忘れてました。
この方々が天下の幻影旅団だということを。
…旅団にとっては子供騙しレベルなわけですね…。

「でも翔!あんたは普通の人間でしょ!なんで平然としてるの!?」
「え、だってオレ、ジェットコースター大好きだし」

そういう事を聞いてるんじゃないわぁぁ!!
あたしだってジェットコースター大好きだよ!
けれど、今の速さは異常でしょぉ!?
…結局は、あたし一人がヘタレって事なの?
ガクリと落としたあたしの肩に、ヒソカの手がぽん、と乗る。

「しょうがないよ、ナオは『か弱い女の子』なんだし◆」

……嫌がらせかァァァァァァァァァ!!
人の言ったことを逆手に取りやがって!

「まあまあ、みんな。ナオイジメもそこそこにしておきなよ。少し休憩しようか、ナオ?」

シャル、フォローのようでフォローになってないよ。
あたしイジメられてたんだって解っちゃったじゃないか。
優しさが仇になることだってあるんだぜ…!

「……くしょ……」
「え?」
「ちくしょおおおおお!誰が休憩なんて取るもんか!!次行くよ!次!!」

そう叫んで、次は自分の乗りたい物の元へと向った。
だって、あたしだけ遊ばれてたまるか!

「あーあ、ナオ…怒っちゃった」
「あれ怒ったっていうのか?…だが、なかなか面白いじゃないか。オレは気に入ったぞ」
「…クロロもかい?実はボクもなんだけどねぇ◆」
「ナオはワタシの玩具よ」
「はは、オレも負けてらんないな」

あたしの後ろでこんな会話が繰り広げられているとは知らずに、一人でずんずん進む。

向う先にあるのは…ふっふっふ。

聞いて驚け!

その名も“トリックタワー”だ!!

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