■ 7:見えない未来

「「あ」」

それは、初めて電車で彼と目が合ったときと全く同じ反応だった。

「古賀さん、今帰り?」

「うん、そう、今帰りー!神くん今日は早いんだ?」

「そ、今日は早く終わってね」

当然のように一緒の電車に乗り込む私たち。
帰り道が一緒で、同じホームにいれば当たり前の事。

今では普通に友達感覚で喋れるようになった。
朝、一緒に登校しているっていうのが大きいと思う。

しかしそれは外見的なもので、私の内面は神くんの隣に座るたび、心臓がドキドキしてて仕方なかった。

「バスケ部、今度練習試合あるんだって?」

「え、誰から聞いたのそんなの」

「佳苗が言ってたよー、ほら、あの子、清田くんが大声で叫んでたとかって」

「ああ、ノブか……あいつ元気だけは有り余ってるからなー」

「あはは、ウチにもいるよ、元気が有り余ってる子!」

「あ、知ってる。沼田さんだっけ、ノブが言ってたよ『生意気なバレー部のヤツがいる!』って」

「へぇ、あの二人知り合いなのかな?」

「同じクラスみたいだよ」

なんか、老後の爺さん婆さんみたいな会話になってきた気がする。
若い子は元気でいいねぇ、そうですねぇ、みたいな?

そう考えるともうちょっと若さを出さなきゃ!と思って。

「若い子たちには負けてらんないね!」

「ぶはっ、それどこの老人の言葉だよ」

……見事、撃沈した。

「ええ!?若くない会話になりそうだったから、若さを全面的に出してみようと思ったのに……!」

「それ、逆効果って気づこうか」

「何、その韻を踏んだ言い方」

「え?」

「ぎゃくこう『か』ってきづこう『か』!YO!みたいな」

「ぶぶっ……!!」

「あっ、ちょ、笑うなー!!」

なんだこの流れ。
私、おもいっきり馬鹿丸出しじゃない?
それに神くんが隣で大笑いし?C

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