21

「…………リヴァイ、これは一体……」

風呂から出てきたナナバは呆然とした。
テーブルの上には空いているワインボトルが3本。
ほんのりと頬を赤く染めているリヴァイと、その隣には真っ赤な顔して目がうつろなエイルが居た。

「悪い、飲ませすぎたようだ」
「飲ませすぎたっていうレベルじゃないよね、これ」
「あ〜、ナナバしゃん〜。ナナバしゃんものみましゅか」
「…………」

泥酔に近い状態のエイルに、ナナバは頭を抱えた。
私が風呂に入っている隙にこんなに飲んだのか。
これ、一緒に寝るの?私が?
……大丈夫かな。

ナナバの心配はこんな状態のエイルに手を出さずにいられるか、というものだった。
彼女をこういう状態にしたのはリヴァイだし、責任持ってリヴァイと順番を交換してもらおうかとも思ったが、それはそれで凄く勿体無い事のような気がする。
ナナバは深く溜息を吐いてから、エイルの身体をひょいっと持ち上げた。

「ふあっ、びっくらした」
「もう寝よう、エイル。次のターンになればお酒も抜けるさ」
「ふぁい」
「リヴァイはどうする?」
「俺ももう寝る事にしよう」
「ん、じゃあそれはちゃんと他の皆に見つからないように片付けてね」
「ああ」

リヴァイがのろのろとした動作でボトルを片付けたのを確認し、ぎゅう、としがみついてくるエイルに頭を悩ませながらナナバは寝室へと向かった。

「エイル、大丈夫?」
「らいじょうぶれひゅ」
「随分呂律が回ってないけど」
「そんらことらいれす」

これは何を言っても大丈夫だと返ってきそうな気がする。
早々に会話を諦めたナナバは、エイルを優しくベッドに寝かし、電気を消してから自分も横へと転がった。

「早く寝ちゃいな、今ならすぐにでも寝れるだろ」
「んー、それはひょっろさみしいれす……」
「!?」

エイルに背中を向けようとすれば、エイルがナナバの胸へとしがみつく。

うわ、ほんとヤバイ。

エイルの柔らかさと体温の心地よさに、ナナバは自分の顔に熱が集まってくるのがわかった。

「ナナバさんはわらひのこときらいなんれすか」
「ハァ!?ちょ、そんなわけないだろ」
「らっれ、ぎゅうってしてくれらい」
「〜〜〜!」

頭をぐりぐりするなあ!!
そう思いながら、ナナバはエイルの気が済むように彼女の身体をぎゅう、と抱き締めてやった。

「んー、ぷは!」

少し苦しかったのか、息が出来るように、と顔をぐっと持ち上げるエイル。
必然的にナナバとバッチリ目が合う形になった。

「うはは〜、ナナバさん顔赤い」
「いやおい、お前の所為だけどね」
「わらひ?」
「エイルがそんな顔で抱き付いてくるからでしょ」
「そんな顔ってろんなんれふか」

言いながらペロリと自分の唇を舐めるエイルに、ナナバの頭の線が一瞬プチッと音を立てた。

「、っ」

そんな可愛すぎる顔で誘ってくる方が悪い。
ナナバはそう思いながらエイルの唇を奪った。
ワインの味がする。
二人で3本も空けたんだもんな、そりゃ酔わない方がおかしいだろ。
しかしリヴァイに任せなくて良かった、リヴァイだってきっと同じ事に成りかねない。

色んなことを考えながら、ナナバは何度も何度もエイルに口付けを繰り返す。
嫌がる素振りも見せないのをいい事に、思わず口内へと舌を侵入させた。
エイルがピクリと反応を見せるが、拒否ではない。
ナナバはその勢いのまま、エイルの舌を絡め取った。


そうしてしばらくエイルの唇の味を堪能すれば、今度はその身体にもっともっと触れたくなる。
これは男の性だ。
自分の身体だって疼き始めてる。
しかも相手は泥酔状態。
これ以上は本当にまずい。
エイルを組み敷きたい衝動を必死に押さえ、ナナバは再び彼女を自分の胸の中へと閉じ込めた。


早く寝ろ、寝てしまえ。
お願いだから寝てくれ。
そう願いながら抱き締めていれば、小さな寝息が聞こえてきて。
ホッとしたのとどこか残念なのと、複雑な心境でナナバは部屋を出た。

これは酒を飲まないとやってられないっていうか、絶対眠れない。
まさか自分が翻弄されることになるなんて、不覚だ……!
そう思って物置部屋へ向かい、ひとり自棄酒をする事にした。




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