15


2ターン目はかなりスムーズに終了したため、小一時間ほど新たな武器探しをした後は反省会を開く事になった。

「さて。ナナバ、どういう事か説明しろ」

テーブルを囲んでドカリと座っているリヴァイ。
彼に促されてナナバは属性攻撃についての説明をした。

「えーと。別にそんな特別なことはしてないんだよね。『水よ、出ろ!』なんて思いながら刀を振り下ろしたら水の刃が出ちゃった、みたいな」
「なんすかその軽いノリ!」
「だって仕方ないじゃないか、本当にそうなんだから」
「だったらオレも出来たって事っすよね!?」
「ジャンはそういうの試そうとも思わなかったんだろ?」
「エレン……痛いとこ突くんじゃねぇよ。確かに巨人を倒す事に必死で属性攻撃なんて思いもしなかったからな」
「っていうことは、僕らもそういう攻撃が何かしら出来るって事ですよね」
「うん。アルミンも自分の時に試してみたらいいんじゃないかな。っていうかアレだよね、属性攻撃が出来た時点で相手の属性もわかるよね」
「あ!そうですね、そんな事気づきませんでした……そうか、最初に試してみればいいのか……」
「でもどのターンでもどの属性攻撃も出来るっていう可能性はないですか?」
「ああ、エレン賢いね。1ターンにつきひとつではないっていう事も当然考えられるな」
「ですよね」

みんなが討論している中、エイルは一人無言だった。
何故なら自分の属性が今だ判明しないからである。
そんなエイルを察したのか、アルミンが声を掛けた。

「エイルの属性も早くわかるといいね」
「うん、ありがとアルミン」

エイルはニコリと微笑むと、再び皆の話に耳を傾けた。

「そういや今回の事で発見した事がもうひとつあったな。エイル、お前が話せ」
「!」

突然自分に話を振られて肩がピクリと動いたが、エイルは言われたとおりに皆に話す事にした。
とはいえ、一度簡単に話はしてあるから大して補足も何もないのだが。

「戦闘中にみなさんに話はしましたけど……今一度、確認のために言いますね。大型巨人は自分より弱い属性の人を最初に狙ってるみたいです。最初は『水』だったから『火』であるエレン、今回は『火』だったから『金』であるリヴァイさんです」
「じゃあ属性攻撃が出来る出来ない関係無しに相手の属性はわかるってわけだ」
「でも、一度本拠地に戻ってから次に出くわした時にはアルミンと私に向かってきましたから、確証があるわけではないんですけど……」
「しかし一番最初に反する属性の者が狙われてるっていうのは間違ってもいないと思うな。つまり、次は私かジャンかアルミンが真っ先に狙われる可能性が高いって事だね」

ナナバの言葉にジャンとアルミンは一瞬顔を青くさせた。
だが、そういう仕組みになっているのであれば仕方の無いことである。
二人は諦めたように溜息を吐き、そうですね、と頷いた。

「心配すんな、お前ら二人のサポートはしてやる」
「あれ?ちょっとリヴァイ。私のサポートは?」
「お前は一人で十分だろ」
「何かあったら、とか思わないわけ?」
「その辺は信用してるからな」
「おっと。そんな台詞吐かれちゃ何も言えないじゃないか」

リヴァイとナナバの会話を、エレン、アルミン、ジャンの3人は羨ましく感じていた。
二人の信頼関係が眩しく見えたのだ。
エイルはそんな光景を微笑ましく眺めていた。

「それにしても、今日はほんとスムーズに片付きましたね。さすがナナバさんです」
「ありがとうエレン。でもね、私一人の力じゃないよ。みんなのサポートあってこそなんだからね、その辺り忘れないように」
「はい!」
「エイルが作った盾も大活躍だったよな、あの炎結構凄かったぜ」
「盾が無かったら俺は火傷を負っていたかもしれんな」
「ありがとうございます!」

ジャンとリヴァイに褒められ、エイルは顔を赤くしながらお礼を言った。
この戦いの中で自分が役に立てたと実感できたのが嬉しかったのだ。
巨人を倒す事に関しても、少なからず自信はついた。
肉を削ぐ感触は気持ちの悪いものだったが、殺らなければ自分が殺られるのだ。仕方の無い事だった。
巨人が言語を使えて話し合いで解決できたら良かったのに。
そう思ったところで現実に変化はない。

「そういえばもうひとつ気になる点がありました。どうして大型巨人だけが後ろから現れるんでしょう?」
「あ、アルミン、それオレも気になった」
「だよね。エレンがやられた時も後ろから出てきたんだよね」
「やられたって言うなよ……!」
「あ、ゴメン」
「その点に関してはゼノフォン博士が設定したんじゃないかな。もしかしたら法則なんてなくて、次のターンではどこから来るかわからなかったりもするかもよ?」
「それはそれで厄介だが……全て倒せばいいだけの問題だろ」

そりゃそうだけど、それが出来るのはアンタだけだよ。

そう思っているのは104期訓練兵だった3人だ。
もしこの先一気に5体がうろつく状況になれば、こちらもバラバラに応戦しなくてはならなくなる。
そうなったらエイルは愚か、実戦経験の浅い3人だって不安なのだ。
エイルを守ってやらなきゃという気持ちがあるから怖いなどとは言ってられないが。

「考えてても仕方ないのか、こればかりは」
「うーん。何か理由があればって思ったけど……次のターンでまたどうなるか見るしかないか」

顎に手を当てながらエレンとアルミンがうんうん唸っているのを見て、リヴァイはフン、と鼻で笑った。

「無駄な事考えてる暇があったら身体を休ませろ、餓鬼共」
「無駄じゃないかもしれないじゃないですか」

ムッとしたエレンが反発すれば、ナナバがそれを制する。

「リヴァイは君らの身体を心配してるんだよ。口が悪いだけだから気にするんじゃないよ」
「す、すみません……」
「フン」

解っては居たものの、つい発言してしまった辺り若さが伺える。
リヴァイはそんな彼らの成長を密かに楽しみにしているのだが、そんな事をわざわざ言う必要もなかった。

「そろそろご飯の準備、しますか?」
「ああ……そうだな。やってくれ」

時計を見れば、残り時間はあと8時間になっていた。
今回は時間に余裕があることを嬉しく思いながら、エイルは食事の準備をしようと席を立つ。
そんな彼女を手伝う為にアルミンも一緒に。

30分もすると、いい匂いが漂ってくる。
その匂いに釣られてエレンとジャンのお腹の虫が盛大に鳴った。




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -