37話 チーム登録完了です
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朝、いつも通りの時間に目が覚めた。

女の子達と、帰ってきた翔、翔にくっついてきたシャルナークと一緒に朝御飯を食べ、しばらくゆっくりとくつろいでからクロロの家へ向かった。



「では、今日は二人残しで全員グリードアイランドに入り、1日情報収集に費やそうと思う。無論、簡単にカードが入手出来そうな場合はそのまま進めてくれ。……残りたいヤツはいるか?」
「はーい、私、残りでいいですよ」
「あ、私も残りでも」 
「俺は……どうしようかな」
「シズクはそろそろ一週間経つだろう。それに一ノ瀬姉弟は残り組への選択肢はない」

シズクが残るならお喋りしてもいいかな、なんて思ったけどやっぱりダメだったか。
マチの言った通り、今後は出ずっぱりになりそうな感じなのかなあ。

「他にはいないか?」
「「「…………」」」
「仕方ない、コインで決めよう」

旅団のいつもの方式を取るようだ。

そのコインで決まった結果、フランクリンとノブナガが残り組になった。

「1日残りだとつまんねーんだよなァ」
「まあそう言うなノブナガ、何か美味いモンでもデリバリーしよう」
「だな」

確かに1日見張り続けなきゃいけないって考えたら、しんどいしつまらないかもな。
フランクリンは大人だなあ。

「二人とも、悪いが頼むぞ」
「あいよ」
「こうなったら任せとけ、フランクリンと美味いモン食って待ってるわ」
「よし。まずは昨日チームに入ってない者達をチームに入れてから、だな。フェイタン、フィンクス、ウボォーギン、マチ、ナオ、翔。先に入るぞ」

クロロに呼ばれたメンバーがそれぞれ順番にコントローラーのボタンを押す。
あれ、ちょっと待てよ。私、前回水の都で終わってるよね?
このまま行ったら一人で水の都に行っちゃうんじゃないのかなあ……翔は……商業機械都市から?

「ねえ翔、前回どこで離脱した?」
「俺は……商業機械都市だな。クロロ、どうしよう」

気付いた時には既にクロロとマチしか残っておらず。

「アタシが道案内がてら一緒に行けばいいだろ、どうせアタシもそこからだし。完全に忘れてたけど」
「ナオは俺と手を繋いでいこう」

完全に忘れてたけど、の部分で翔の顔にショックの色が見えた。
か細い声で「……はい、」と返事をしながら先にコントローラーを操作し、グリードアイランドへ入って行ったので、マチは何故あんな反応になったのかもわからずに慌てて追いかけていった。
デートを忘れられてたわけじゃないから、落ち込む必要無かったと思うんだけどね、なんだか翔の反応を見てたら切なくなったよ。

私はクロロに差し出された手を取り、一緒にマサドラからのスタートだ。
検証はマサドラでやったんだね、ってか基本的にはマサドラがホームっぽい?
進行具合でまたホームの場所も変わっていくのかな。

「全員いるな? ……ああ、翔とマチはまだか。時間もかかるし先にやってしまうか。では、ここにいる者から一人ずつ指輪をここに納めてくれ」

クロロのバインダーのチーム編成のページ、一番下の部分に小さな穴がある。
そこに指輪を納めて認証完了すれば、晴れてチームの一員、ってわけだ。

「ゲームに慣れるためにも、一番にナオがチーム登録を済ませてから他のメンバーを呼びに行くのもいいんじゃねェか?」
「ウボォー……いい事言った風に感じるけど、面倒だから私に押し付けようって事じゃないよね?」
「何言ってんだ当たり前だろ、面倒に決まってんじゃんか」
「……そうもアッサリ言われると反論する気も起きないわ」

ゲームに慣れるためっていうのは一理あるし、言う通りにやらせて貰お。

「じゃあまあ、皆さんお先に」
「おォ、素直だな」
「反論してても仕方ないからね。クロロ、これでいい?」
「ああ。一度バインダーを閉じて、認証完了したら勝手に開くから、そうしたらまた指輪を取ってくれ」
「わかった」

報告会で聞いていたとおり、感覚的に5分位で再びバインダーが開く。
チームに自分の名前が記されていることを確認し、とりあえず離脱、と。


「お、お帰り。ナオが一番?」

体を起こした私に気付いたシャルナークが問いかける。

「そう、ゲームに慣れるためにも一番にやって皆を迎えに行ってくれって」
「ウボォーあたりが面倒事を押し付けてきたんじゃないのか?」
「ボノレノフ鋭いなー……何でわかったの?」
「いや……適当に言っただけだが、まさか本当にそうだったとは」
「適当だったんかーい。とりあえず一枠空いたから、私に捕まってて貰えば皆で行けるのかな?」
「ええ、それで大丈夫よ。じゃあ皆ナオに捕まりましょう」

皆がそれぞれ肩だの背中だの、頭やお尻にも触れる。
頭も大概だけどお尻だと!?

「ちょっと待って誰お尻さわってんの!」
「え、ごめーん、他に場所空いてなくて」

シズクかよ……!!

「……シズクならまあ、いいや。じゃ、押すね」

五人もいるんだもんな、一人に触れるとなると大混雑だもんな。
ボタンを押すと私に触れていた全員でマサドラに到着。
マチと翔も既に合流していて、あとは全員の指輪の認証待ち。

認証が済むと、今度はグループ分けになる。
1グループ5人までってことは、今居るのが12人だから3つに分かれないといけないんだね。

「グループだが、翔とパクノダ、マチ、シズクで組むのは決定だな」
「えっ、何故に俺一人だけ男!?」
「お前忘れたか? オーラの相性の話。翔もナオも万人受けのオーラを持てるけど、異性の方がより効果を発揮できる言たね」
「ああっ、そんな事言ってたわ!」
「だからその四人で組むのが効率がいいね」
「なるほど……まあ、わかったわ」

納得はしても女の子達の中に男が一人っていうのは気まずいんだろうなー。
私も最初はそうだったもん、特に夕飯時ね。
もう慣れちゃったけど。

「っつーことは、ナオと組むのはコインだな? よっしゃー、ビシッと当ててやるからよナオ! 一緒に戦おうぜェ!」
「いやいやウボォーさん、私戦闘要員じゃないんで」
「ああ……そうか、ナオの能力も検証しておく必要があるな」
「へぇ!?」

ちょっと要らんこと言わないでよクロロ。
検証ってそれ今やらなくても良くない!? 変な声出ちゃったよ。

「携帯買って貰った時に自分で検証したよ?」
「ああいうのは検証って言わないでしょ。必要な事なんだから諦めなよね」
「シャル酷っ、敵の援護射撃しないでよ」
「何と言おうとやっておくに越したことはないぞ。ああ、もちろん翔の能力の検証もしておいて欲しい」
「わかったわ、それは私達に任せて頂戴」
「私と翔、グループ交換しない?」
「ナオ……効率の話、聞いてただろ。大人しく諦めた方が身のためだよ」

マチまでそんなこと言っちゃう〜?
翔に目線を送ったらフイッと顔を背けやがったよあんにゃろう。

「意見が無くなったところでコインで決めるぞ」

意見が無くなったんじゃないんだよ、言っても無視されるんだよクロロさま……。

クロロがコインを投げると、各々表! とか裏! とか言い合って。
私と一緒に行動するのはクロロ、シャルナーク、フェイタンの三人に決まった。
シャルナークがいることに少しだけホッとする。
やっぱりいつも一緒に居てくれてるからね、何だかんだ頼りにしちゃうんだよね。

「あー! ちきしょう、ナオの恩恵で思いきり戦ってみたかったぜ!」
「残念だったなウボォーよ、俺達はまた次の機会を狙うとしよう」
「おう、そうだなフィンクス! これっきりってわけじゃねえもんな!」
「団長、残りの面子は一緒に行動しなきゃいけない?」
「何だコルトピ。個人で行きたいところでもあるのか?」
「んー、別に個人じゃなくてもいいんだけど、ちょっと見ておきたいところはある」
「そこに戦いはあるンか?」
「ううん、戦いはないよ。だからウボォーギンは別行動の方が楽しめるかなって」
「それなら無理にグループを組まなくてもいいぞ。ウボォーとフィンクス、コルトピとボノレノフで行動してくれ」
「わかった、ありがとう。ボノレノフもそれでいい?」
「ああ、俺は構わないぞ」
「良かった」

ほのぼのとした空気を残しつつ、コルトピとボノレノフは目的の方向へと移動開始した。
ウボォーギンとフィンクスも、それに続いて別の方向へ。
山岳地帯に行くって言ってたから、やっぱり敵を求めて行くんだろう。

「ねえ、今日は情報収集って言ってなかったっけ? あの戦闘バカ放置でいいの?」
「はは、まあいいさ。俺達も検証が終わり次第情報収集に移るしな」
「そんなもんなんだ……」

ウボォーの戦闘バカは全員で黙認してるって感じなのかな。
それならばもう何も突っ込むまい。

「アタシ達も行こうか。ウボォー達と反対の方向に草原があるから、そこで翔の能力の検証しようよ」
「いいわね、賛成よ」
「私もそれでいいよー」
「俺は従うしかないので素直に行かせて頂きます」

翔……全員の尻に敷かれないようにガンバれよ。

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