36話 報告会をしました
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夕飯を食べ終えても検証組は帰って来ず、フェイタンとフィンクスは自分達の家へと帰って行った。
検証組の夕飯どうしようかなー、各部屋にお届けしといてもいいけど鍵がないしなあ、なんて思っていれば、二人が帰った30分後にチャイムが鳴り、それからの夕飯&報告タイムとなる。
いつもは特定のメンバー(同じマンションの人達)だけで夕飯を食べていたが、今日は報告があるので全員集合している。
帰ったはずの二人も招集され、面倒そうな顔で戻ってきた。

食べてない皆の分のご飯を準備して、足りない分は買い置きのお肉で急いで生姜焼きを作る。
生姜焼きは女性陣に食べてもらい、男性陣は肉丼……足りるかな、多分足りないよな……お蕎麦でも茹でておくか。


「ナオ、うちらの分まで用意して貰っちゃってゴメンね」
「こんなに作るの大変だったろ? 今度はアタシらも手伝うから」
「大丈夫だよ、簡単なものしかしてないし気にしないで! 料理も嫌いじゃないから」
「そう? なら、後でお皿洗いだけでもやるわね」
「あ、それは助かる、ありがとう」

女の子達から有難い申し出があったけれど、料理は壊滅的という話を聞いてしまったものだから、手伝ってなんて口が滑っても言えなかったわ。
女の子達の後ろから余計なこと言うんじゃねえオーラも半端なく飛んできてたし。
でも後片付けなら大助かりです。

女の子達だけじゃなくフランクリン、ボノレノフ、コルトピも口々にお礼を言ってくれた。
この三人、私の中では完全に癒しキャラなんだよなあ……和む。
たまには全員でご飯もいいよね。


「では、食べながらで悪いが、今日の検証の報告をしよう」


グリードアイランドのバインダー、最後のページに加わった、チーム編成。
チーム編成は20名まで登録することができ、そのチームに入っているメンバーのバインダー内のカードは合算される。
例えば、クロロが持っていない指定ポケットカードをチームに入ったシャルナークが持っていれば、それはチームの持ち物と考えられる。

当然、最後の一枚を誰かがゲットすればチーム全体でのクリアとなるわけだ。
それ以前にカードはバラバラに保管してるっぽかったけど……ゲーム内でチーム認識はされてたってことなのかな。
個人が40枚持っていたわけじゃないのに、そのページが表示されたのは全くの謎だとか。

チームに加入するには、リーダーになる人物のバインダー、チーム編成のページに一定時間指輪を納めること。
これは5分程度かかるみたい。

それから、チームの中でもグループ編成が出来る。
3グループまで作成することができ、1グループ5人まで。
グループ編成は都度変更可能なので、ここは臨機応変にやっていくとのこと。

チーム全体でゲームから離脱する場合は、リーダーがそう念じれば、ゲーム内のどこに居ようが全員が離脱可能。
それ以外のクエストクリア時はグループ毎の離脱となる。

尚、チームに加入していれば、ゲームに入る人物の体に触れている限りコントローラーがなくとも同時に入れる。

「話の途中まで、今までと変わったところっつったらチーム全体での離脱くらいか、と思っていたが……団長、これからは全員で入れるようになるって事だな?」
「そういう事になるな。今後は見張りの二人だけを残し、その他全員で攻略していこうと思う」

私も途中まではフィンクス同様に大した追加要素じゃないなー、思ってた。
でもゲームに入れる人数が増えるのは凄い。
っていうか、クロロはやっぱり部活動に拘ってんのかなあ……?

「学校が終わったら帰ってきてからプレイすれば、見張りもいらないんじゃないの?」
「ああ、それも考えたんだが……万が一があるからな。見張りは必要だという考えで纏まった」
「万が一?」
「一ノ瀬姉弟がゲーム部に拐われる可能性とか、だな」
「えっ、俺らそんな可能性あんの!?」
「このマンションのセキュリティは万全だけど、入る方法はいくつでもあるからねー」
「シャル……それ言っちゃったら、普段生活している時の私達姉弟もヤバいって事じゃない?」
「そうだよ、だけど隣にはフェイタンもいるし、上の階には俺もいる。フィンクスも近いし、不穏な空気は察せるからね、まあ本来は同じ家の方がベストだけど、そこはプライバシーの保護ってことでさ」
「ああ、なるほど。今まで普通に拐われる可能性あったんだ」
「姉ちゃん納得はえー……そんな日常と隣り合わせの恐怖、やだなあ」
「じゃあ翔は俺と住むか?」
「えぇ!? クロロと!? なんか恐れ多いから無理!」
「ははは、恐れ多いのか」

翔じゃなくともクロロと住むのは恐れ多いって感じがするわ。
今は普通に話も出来るし、仲間として見てくれているけど。
クロロに限らず、幻影旅団のみんなってどこか雲の上の存在ってイメージがあって。
こんなに仲良くしてもらっていいのかなーって感じ。



「差し当たって明日は土曜日だし、10時に俺の家に集合してくれ」
「了解。じゃあアタシらは後片付けやってから帰るよ」
「あ、時間も遅いし今日は私がやるからいいよ……ってか、女の子はうちに泊まっていったら?」
「えっ!? 俺もいるんだけど!」
「あんたは誰かのうちに泊まらせてもらってよ」
「え、え? 嘘だろマジかよ、えーと、フェイタン……隣のよしみで……」
「寝てるの起こしたら殺すよ」
「シャルナーク! 上下のよしみで!」
「あはは、いいよ。うちにおいでよ」
「うおーありがたい」
「ごめんなさいね、翔の家なのに追い出されるようなことになってしまって」
「あー、いやいや、謝らないでよパクノダ姉さん、たまには女の子だけで楽しくやってよ。姉ちゃんも喜ぶだろうし」
「何でパクノダ姉さん? なのかしら」
「ほんとはパクノダの姉御って呼びたい」
「……姉さんでいいわ」

女の子だけで楽しく、って言うけど翔よ。
今何時だと思ってんだ。
皆が帰ったら片付けして風呂入って即寝だわ。
ぶっちゃけ今も少し眠くなってきてるわ。

「ご馳走さま、今日も美味かったよ。いつもありがとうな」
「わっ」

それぞれ立ち上がって玄関に向かう中、クロロがそんな事を言いながら頭をくしゃりとしてきて。
いやー天然たらしだ、顔があっつい!
そんな笑顔で私の作った料理を美味しいとか言って貰っちゃったらオチるわ!
いやいや私の推しはシャルナーク、私の推しはシャルナーク。

「俺の好物作ってくれてサンキューな! ナオ、愛してるぜー!」
「ぎゃあ!!」

お酒飲んでないのにフィンクス酔っ払ってんの!? 突然抱き付かれて思わず悲鳴が出たじゃないか!

「やめなさい」
「やめるね」
「うおっ!?」

フィンクスをひっぺがしてくれたのは、私の推しことシャルナークと意外なことにフェイタンで。
私じゃ力が足りないから、二人がひっぺがしてくれて助かった。

「いーじゃねーかハグくらい」
「お前は翔とハグでもしてるね」
「いやだから何で俺にとばっちり……!」
「一瞬酔っ払ってるのかと思ったわ、ビックリした……」
「ん? 酔っ払いならいいのか?」
「「「そういう事じゃない」」」

多方面からのツッコミが入り、フィンクスは頭にクエスチョンマークを浮かべていた。
何故わからんのだ……!
若い男の子とハグとか、めっちゃドキドキするわ。
…………あれ? ハグじゃないけどシャルナークに肩抱かれてたね? 水の都の時。


……うわぁ、思い出したら顔が暑くなってきた……!


「何だァ、ナオは満更でもないんじゃねーのか?」
「ちっ、違うわ! 誰だって恥ずかしくなるわ!」
「そうだよノブナガ。ナオ、俺でもそうなるよね?」
「ワタシだてなるに決まてるね」
「あら、ナオは私がハグしても赤くなると思うわ」
「それはアタシも同感」
「つまりナオは照れ屋さん、と」
「「「シズク、何か違う」」」
「あれー?」

下らないことをごちゃごちゃとやりつつ、男性陣プラス翔が家を出ていった。

静かになった部屋を、残った女の子達で手分けをして片付け、それから順番にお風呂に入る。
一番最初に入ったシズクは、最後の私が出る頃には既に熟睡中だった。
パクノダとマチは待っててくれたようで、ほんの少しだけ他愛のない話をして、それからおやすみの挨拶をした。

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