35話 お休みになりました
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昨日は後から帰ってきた翔が、やたら落ち込んでいたので理由を聞いたところ、マチと二人で携帯を買いに行ったことで入部条件だったデートをクリアしてしまったらしい。
デートって現実世界での話じゃなかったのか。っていうか、翔とマチがデートっていうならシャルナークと私もデートだったって事になる。
だが、よくよく聞いてみれば翔達は携帯以外にも色々なお店を見て回ったとのこと。

……落ち込む必要なくない?
現実でのデートプランを考えていた? バカ野郎、諦めずにまた誘えよ!
私だって夕飯さえなきゃ、シャルとデートしたかったよ!

ちなみに商業機械都市マハルカルロ、カーゴシップやらスチームパンクっぽいものがたくさんあったりで楽しかったそうです。
み、水の都だって最初は怖かったけど楽しかったんだからな!






そして今日も今日とて部室に集合する。

「さて、今日の部活動だが」

今更だけどね、グリードアイランドをプレイする事を部活動って言っちゃうのが違和感ありありだよね。
学生のうちは仕方ないんだろうけど、そのうち気にならなくなるかなあ。

「昨日ノブナガ達が指定ポケットカードを2枚取得したことにより、現在の指定ポケットカードは40枚になった。ちなみにゲーム部は31枚らしい……こちらには一ノ瀬姉弟も加わったことだし、焦る必要もないが、少しペースを上げていきたいと思う」
「はいはーい、質問! ゲーム部の情報って誰が横流ししてんの?」
「ゴンに聞けば素直に教えてくれるぞ」

翔の質問した件に関しては私も気になったのだけど。
ゴンからの情報なら納得だわ。
教えたところで負けないよ! とか思ってんのかなー、主人公可愛いなー。
……あれ? そもそもこのゲーム、勝ち負けあるのかな?

「私も質問。グリードアイランドって、一番にクリアしないとアイテムを貰えないの?」
「ああ、そこは定かではないな。だが、数は限定されていると考えている。そもそもこのゲームの中には危険なアイテムも多いだろ?」
「そんな危険なアイテムが出回ったら……、ってことだね?」
「そういう事。まあ、ゲームの難易度が高いから、クリア出来る奴がいるかどうか、という話が前提になるがな」
「ちなみに今までクリアした人がいた、とかの情報は?」
「俺が調べた限りは無かったよ」

情報に関してはシャルナークの専門なので、クロロではなくシャルナークからの返事がきた。

「なるほど。それともう1つ質問いいかな」
「何だ?」
「昨日ノブナガ達が2枚カードを手に入れた、って言ってたけど、去年の年末からスタートして、現在40枚で……入手ペースに違和感があるっていうか」
「ああ、それはカードを入手するのに時間がかかるものがあったからだな」
「そうそう、あれはキツかった」
「村人のお世話一ヶ月とかやってらんなかったぜ」
「執事2週間も地獄だたよ」
「私もメイド1週間やったよ。ご主人様の顔、ぶん殴りたかった」
「魔女の弟子入りとかね」

「……という感じだ」
「よーく理解したわ。大変だったんだね……」

口々に愚痴が出てくるのを聞いて、メイドとか終わった後に入部で良かったな、とか思ってしまった。
っていうか、留年組ってもしかしなくともこれが主な原因だったりするのかな。

「あァ、そうだ。昨日伝え忘れてたんだが」
「何だノブナガ」
「40枚目を入手した後、こっちに帰るまでに何気なくバインダーを見てたらよ、最後のページにチーム編成ってのが追加されてたんだよ」
「チーム編成……シャルナーク、どう思う?」
「んー、今までも一緒の空間でクエストクリアしてたら同じチームって判定されてたと思うけど……ノブナガ、チーム編成以外に何か書いてなかった?」
「アー、その文字を見た直後に戻ってきちまったんだわ。悪ィ」
「ふむ。これは検証する必要アリ、だな。どのみちゲームに入ってそのページを見てみないことには何とも言えんが……よし、今日は俺、シャルナーク、ノブナガ、パクノダ、シズク、フランクリン、コルトピ、ボノレノフで行くぞ」

フィンクスからコイツら(私と翔のこと)は連れていかないのか、という質問があったが、今日は検証に費やすのでゲームを詳しく知ってる奴らの方が良いだろう、とのこと。
ということは。

「私達は見張りをしていたらいいのかな?」
「見張りはアタシとウボォーがやるから、ナオ達は帰っていいよ」
「「えっ、帰っていいの?」」

思わずハモってしまったのも仕方ない。
それだけビックリしたのだ、私も翔も。
確かに見張っていたのは二人ずつだった気がする。
でも、こんな早々にフリーな時間が貰えるとは思ってなくて。
とか思っていたら、次のマチの一言でズドンと落とされた。

「だってアンタ達、この検証が終わったらきっと入りっぱなしになるよ。今のうちだろ、楽出来るの」
「「な、なるほど」」
「じゃあ翔、帰る?」
「そうだな姉ちゃん。そうしよう」
「今日はシャルナークがこっち組だから、フィンクスが一緒に居るんだぞ。フェイタンはいつも通り頼む」
「あー、そうだな。わかったよ団長」
「言われなくともわかてるよ」

こうなると、今日も夕飯を作らねばならない流れだよね。
グリードアイランドで遅くなった時は免除されることになったけど、夕飯作らなくていいなら弥生ちゃんとか桜子さんとか誘って遊びに行ったり……、は、無理か。
保護者(旅団)付きになっちゃうもんな。

献立はどうしようかと悩みつつ、ぞろぞろ教室を出る。

「あれ◆」
「あ」

聞きたくない声が聞こえたので、そのまま立ち去ろうとする「ちょっと待ちなよ、何逃げようとしてるの」

……わけにもいかないよね。

「オマエラ何の用ね」
「俺達ぁ今から帰るとこなんだが」
「フェイタンとフィンクスは帰って大丈夫だよ。ボク達が用があるのはそっちの二人だからサ」
「仲良く一緒に帰るんだわ、二人だけ置いていくわけにはいかねぇんだよ」

フェイタンとフィンクスが即座に前に出て庇ってくれている。
ちょ、こういうシチュエーション弱いんだよ無駄にきゅんきゅんするよ。

「二人だけ置いていくわけにはいかないんなら、ナオだけでいいから置いていってよ」
「ハ?」
「はぁ?」
「ねえナオ、俺もナオと一緒にグリードアイランドで遊びたいんだ。ダメ?」
「えっ、ダメ? って……ダメ、です」
「おい姉ちゃん何揺らいでんだよバカ野郎!」
「うっ、うるさいな! あんな可愛くおねだりされるとは思わなかったんだよ!」

だって、ダメ? って首傾げて可愛く言うんだよ!? ヒソカは嫌いだけどイルミは腹はたつけど嫌いまではいってないし。

「ねえ、ボクも一緒に遊びたいんだよね◆」

お前は首を傾げて可愛く言ってもダメだ推し殺し野郎!

「いや、帰りますんで無理です。それに、グリードアイランドは旅団のみんなと入るって決めてるんで、あなた達とは遊びません」
「あーあ、キルとゴンも一緒に遊びたがっていたのにな」
「うぐっ」
「アホナオ、押し負けてんじゃないね。さ、言い合いしてないでささと帰るよ」
「翔もキルアとゴンで揺らいだだろ、バカタレ」
「イデェ! なんで俺だけ拳骨!」
「なんとなくだ」
「ヒデェ横暴だ」

フェイタンとフィンクスに回れ右させられ、そのまま背中を押されて歩き出す。
追い掛けてくる気配はなさそうで、一安心かな?

「今日は無理でもそのうち遊ぼうね」
「ククク……楽しみだねぇ◇」

後ろからそんな声が聞こえたけど、フィンクスに頭を固定されたので振り向けもしなかった。
いや、振り向くつもりもなかったけど、こりゃねえわフィンクス。



「あぁ〜なんだか精神的に疲れた……」
「あいつらしつけェからなあ。ま、俺達が付いてっからよ、心配すんなや」
「「…………」」
「あん? 何だおまえら口ポカーンと開けやがって」
「いや、フィンクスカッコいいな、って」
「男としてもズキューンてきたわ……!」
「はっ、ハァ!? 俺はいつでもカッケェだろが!」
「クハハハ、言われなれないもんだから茹でタコになてるね」
「うるっせ!」
「いやいや本当にカッコ良いこと言ってくれたわ。今日の夕飯はフィンクスの食べたいものにしよう」
「おっ、マジか! なら肉丼一択だな!」
「単純単細胞」
「うるせーなフェイタン、ボソッと言っても聞こえてんぞ!」

少しのトラブルはあったものの、今日はまだまだ時間があるのでスペシャルな肉丼にしよう。
守ってやる、って言葉も嬉しいけど、付いてるから心配すんな、っていうのもめっちゃ頼りになるよね。
前世で眉なしって呼んでてごめんよフィンクス。

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