白花1



(幼少期設定)佐助・弁丸、捏造脇役数名。

なんちゃって戦国背景で、とてもお恥ずかしいですが(><;) 一度はやってみたかった、幼少期。出会いとか。まだ他人行儀、シリアスもどき・ほのぼの

3宴の、佐助の過去?なあのネタから妄想。しかし、ほぼ触れてません。もう少し育った設定で書きたいなと。捏造もりもり予定ですが。

真田家の捏造、戦国時代になくね?な物や名称や言葉遣い、数え年等、全部スルーでm(__)m 歳や見た目は、現代風ってことで;


(全4ページ)













ろくな説明もなく任務先に連れて来られるのは、初めてのことではない。いかなる状況にも即対応し得るのは最低条件で、選り好み出来る身分ではないのだから。

よって、この新しい任務が『何も無ければ、期間は自身の命尽きるまで』と現場で聞かされても、別段驚きはしなかった。ただ、割に早かったなと感じはしたが。
決まった奉公先には同朋が大勢いて、皆自分より年長で経験も積んだ者ばかり。に比べると、己は術を学んでまだ数年の小僧で、明らかに浮いていたので。

しかし、里の長からは『もう教えることは残っておらん』と、苦笑気味に送り出された。つまりは、歳や周りの嫉みは気に掛けなくて良いという話であろう。言われた通りに、命を遂行するだけだ。

──実際は歳も腕も大きな理由だったが、それを知っても、何の思いも湧かなかった。



「よう参った。話には聞き及んでおったが、ほんに若いのう。わずか三年で一人前とは、大したものよ」
「は。恐れ多きお言葉、ありがたく…」

「詳しい話は後でさせるが、お主には下の子を任せたいのだ。まだ幼くてな…」

と、主──真田家の殿様は、我が子について語り始めた。

これまでの人生を山と隠れ里で過ごしてきた佐助である、ここの屋敷や人はおとぎ話のように眩しく、同じ生き物であるとは全く思えなかった。里の教えの正しさを実感しながら、遠く見える彼の言葉を頭に取り込む。

彼には二人の息子がいて、内一人の護衛が、佐助の役目であると。


「すぐ無茶をしたがるゆえ、女たちでは手に負えぬのだ。…しかし、身に害が及ばぬ限りは、本人のしたいようにさせてやってくれ」

あれには甘えられる相手がおらぬのでと呟き、視線を庭に向ける。
華やかな着物を着た女性と少年が、木に咲く花を愛でていた。

少年は利発そうな、また上品で穏やかな雰囲気をまとっている。「あれは兄の方だ」と簡単に説明されると、下がるよう命じられた。


「では、よろしく頼むぞ」
「──はい」

…そんな言葉を投げられたのは初めてだったので、つい返答が出遅れてしまった。











「お前はな、その歳を買われたんだ。欲を言えばもっと下の奴が良いのだろうが、腕前を考えるとな」
「はあ」

「護衛が第一だが、ほぼ子守に近い役だぞ。…全く、お前は不適任だとあれほど申し上げたのに…」


(子守…)


里にも佐助より下の子供はいたが、大人に混じって生活や修行をしていた彼には、一度も経験がない。
ここの忍をまとめる世話役──忍隊の長であるが──は顔を渋らせながら、「とにかく周りや当人の言うことに従え」と、何度も佐助に言い聞かせた。

佐助は、感心する表情の中に嫌味も込めて、

「お武家様は違いますねぇ、そんな年頃から忍を…しかも、屋敷内で付けるなんて」

「まぁ弁丸様の場合は、色々とな」
「?というと?」

「殿から仰せつかったが、無論極秘ぞ。…弁丸様の母御はな、実は別の方なのだ。それを良く思わぬ者がいてな…」

彼がさらに幼い頃、怪しい出来事が何度かあったらしい。本人の記憶にないのは救いだが、以来彼の周りに置くのは、ごく限られた者のみになったという。

継母と兄とは自然まみえる機会が減り、友人と言える相手もいない。父親はそんな環境を改善したくも、彼まで失ってしまうのを恐れている。…彼の実母はもういないので。


「最近はそんな兆候もないが、念のためにもだ。…殿は期待しておられる、上手くやれよ」

「はい、心得てます」


今までのように、要領を掴めばすぐものに出来るだろう。

その幼い主のもとへ案内されるまで、手慣らしに屋敷の様子や人の動きを観察する佐助だった。














「やぁー!」
「とりゃあぁあ!!」
「まだまだぁっ!」


(…へぇー……)


まだやるのかと、窓越しに息を吐く佐助。
覗く道場の中では、剣術の師であろう人物に、幼子が懸命に挑んでいた。随分前からしているらしいので、その体力たるや計り知れない。忍にとっては、何でもないことだが…

先ほどの少年──つまり彼の兄上だが、ああいうのが『武家の子供』という印象だったため、甚だしい予想外に驚いていた。髪を振り乱し、汗にまみれながら…あれでは、本当に山の子と大差ない。


(あんなに勇ましいんなら、必要ないかもな…)


師に対する言動を見ていると、子守も不要に思える賢士さである。これは思ったより、楽な仕事かも知れない。

結局、稽古が終わり次第連絡すると他の家人に言われ、屋敷の片隅で待つことになった。



…………………………………



着替えを終えたらしい彼に呼ばれ、ようやく改めての顔合わせに。
また戸惑ったことに部屋には他に誰もおらず、『何かの試なんだろうか』と疑るが、そういう気配はないようだ。


「本日より弁丸様の影を承りました、猿飛佐助と申します」
「うむ、おもてを上げよ」
「はい」

「……!!」


(あれっ──)


目を丸くし固まる彼に、佐助も再び驚きを感じた。
先ほどの豪気さとはまるで違う、儚くも見える白い頬に、くりりと煌めく大きな瞳。
柔らかそうな栗色の髪は、光を浴び艶々と輝いている。



(何……だろう、)


里で見かけた子供らとは、全く違う……外見のことだけではなく、何かが。

しかし、分からない。だがそれもそうかと、すぐさま頷いた。自分たちと彼とでは、そもそも何もかもが違うのだ。
現に初めて目にしたからだろう、彼は佐助の濃い蜜柑色の髪に、釘付けになっていた。


「お気に障るようでしたら、頭巾で隠しますが」
「いや、よい!」

弁丸は慌てて首を振ると、

「ここでは見ぬが、お山にはおおいのか?」
「え?…いえ……己以外見たことありませんね、この色は」

「そうなのか…!」

どうしたことか、彼は何やら興奮している。それも、どうも悪い意味からのものではないようだ。

まさかそんな反応をされるとは思ってもおらず、佐助はまた戸惑ってしまう。
武家の子だからというのは当てはまるまい、他の大人は、皆これに眉をひそめていたのだから。

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