SINGLES12


「今日はとてもいい天気だったよ。太陽がまぶしかった」


 カーテンを閉めきり光を遮断した部屋。

 佐助は壁に寄りかかり、抱きしめていた人間にそっと語りかけた。


「そうそう。アイツの所に行く途中に美味しそうなケーキ屋を見つけたんだ。買ってきたから一緒に食べようね」


 優しく話しかけても答えはない。

 それでも佐助は楽しくてたまらないというようにしゃべり続ける。


「旦那に似合いそうなアクセサリーも見つけたよ。今度おそろいで買おうね」


 そうニッコリと笑って、佐助はカレの髪を優しく梳いた。


「どう? この服。似合うかな? 旦那ほどには似合わないけど、ちょっとは馴染んできたかな?」




 佐助のなされるがままになっているカレの瞳は虚ろ。


 肌も青白く透き通り、唇も微かに開いて只息をするだけ。



 けれど、カレの髪だけはとても艶があった。




 毎日、佐助が丁寧に手入れをしていたから。



「旦那はいつも赤を着ていたから、俺様も最近赤を着ているんだ。こうしていれば旦那も一緒に外に出られるでしょ? 旦那は、一番綺麗な紅なんだから」


 わざと明るくおどける佐助。




「旦那の心も、いつも俺と一緒だよね……?」



 気づいたら、哀願するように呟いていた。


 さきほどの楽しそうな様子は消えている。


[ 192/194 ]

[*前へ] [次へ#]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -