SINGLES8
「幸村……、今、誰と共にいるんだ?」
「旦那……、今、誰を想っているの?」
同時に呟いて、太陽を見つめた。
今迄、自分たちはどんな夢を見て生きていたのだろうか?
失いたくないのに、独占したい。
そんな邪な気持ちを描き続けて、ただピエロのようにカレの前でおどけていた。
叶うのなら、触れたい。その髪を、指を。
何度も願って。押し隠して、願い続けて。
心だけでも。身体だけでも。
どちらかだけでいいから傍にいたくて。
「もう、やめよう」
ポツリと佐助が呟いた。
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