SINGLES5


「……っ」



 右目を押えたまま、肩を震わせる政宗。


 佐助も何かに耐えるように己の腕を強く掴んだ。



 愚かしいくらいに五月蠅い沈黙が流れる。



「もう、耐えられねぇ……」



 絞り出すように呟く政宗。


 佐助もさらに指に力をこめた。



 掴まれた腕は赤くなり、握りしめた手には赤い滴が伝っている。



 それでも、胸が痛い。



 それ以外の痛みなんて感じないほどに。



 虚ろな瞳で2人は過去を想う。



 カレが消えてから2か月がたっていた。


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