SINGLES4


「それで、手がかりは?」


 横柄に尋ねてくる政宗に、佐助は心の中で舌打ちした。



 幼い頃から一緒にいたにも関わらず、政宗の仕草の一つ一つが癪に触ってたまらない。


 その度に心も体も、己の存在全てで政宗を嫌っているのだと実感するのだ。



「何も、だよ。未だに生きているのか死んでいるのかすら分からない」


「……」



 この2か月の間、毎週繰り返される答えを聞いて、政宗は右目の眼帯に触れた。


 過去に己の右目を見て、労わるように触れたカレのあたたかい指を思い出そうとするように。



 そんな政宗を見ずに、佐助は愛しげに赤いパーカーの皺をなぞった。


 幾ら着ても己の身体に馴染まない、この赤色。


 この色が似合う人間なんて、一人しかいないのに。



 カレはいなのだ。


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