SINGLES3
「誰が小汚いって? 俺様のファッションセンスを貶すなんて、相変わらず服のセンスが悪いんだね。金に物を言わせればいいっていうのは間違いだよ」
一言多い佐助の言葉に立ち上がって、政宗は射抜くように睨みつけた。
「俺としては、その服と同じ色にアンタを染めてやってもいいんだぜ? アンタの遺体、跡形も残らずに処分してやるよ」
他の人間が見たら恐怖で震えるような眼差しも、幼い頃から見続けたなら何も感じない。
「やりたければやればいいさ。……旦那のいない世界に生き続ける意味なんてない」
同じく冷たい瞳で政宗を睨みつけて、佐助は静かに答える。
それは政宗にとっても一緒だった。
この世に意味なんてない。太陽を失った世界からは何も生まれない。
それでも、ただこの胸の空洞を抱えて生きているのは。
2人が窓の空を見上げたのは同時だった。
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