SINGLES2


 首にまとわりつくネクタイを緩めて、政宗は空を見上げた。


 青い空に輝く太陽は己の独眼には眩しすぎる。


 それでも目に焼き付けずにはいられなかった。



 己を照らす太陽はもうなかったから。



「やぁ、先週ぶり」


 気だるくソファに座っていた政宗の前に立って、佐助は全く楽しくなさそうに笑った。



「アンタんとこの副社長、相変わらず堅いね。毎週俺様が来るの分かってるのに全然入れてくんないんだもん」


 「社長の教育が悪いんじゃないの?」とふざけた口調で吐き捨てた佐助に、政宗はようやく太陽から目を離す。



「社長に面会する態度には見えねぇからだろ。相変わらず小汚ねぇ格好できやがって」


 軽く舌打ちした政宗が高級ブランドのスーツを身に纏っているのに対して、佐助はおしゃれではあるがとてもラフな格好をしていた。


 緑を基調とした格好を好む佐助には珍しく、真っ赤なパーカーを羽織っている。



 最近、狂ったように赤を身に纏う佐助。


 不愉快に思いつつも、こうして己の会社に招き入れてもう2か月も経つ。


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