菓子会社の陰謀の日




現パロ、先生佐助×生徒幸村。ほのぼの甘。
(慶次もチラリ登場)


バレンタイン小説、期間限定フリー・転載OKもらえたので、遠慮なく。読んでから、ずっと頬緩みっぱなし(*^∀^*)

最後に、お礼&感想載せてます。


藤篠様、本当にありがとうございました。


(全1ページ)












「センセ〜、はい、バレンタイン!」
「私も私もー!チョコケーキ作ったんだぁ」
「ちょっと!抜け駆けしないでよ!」



2月14日。
男女問わず浮き足立つ日。
それはここ、婆沙羅学園も例によって例のごとく朝から甘い香りを学園中にまき散らしていた。

「うーん、俺様甘いの苦手なんだよねぇ」
「だと思って、甘さ控えめ〜」

一際人だかりが出来ているのは、ここの教員でもある猿飛佐助だった。
周りは沢山の女子生徒で溢れかえっていた。
そんな様子を遠目から、実に面白くなさそうな顔で見ている男子生徒が1人。

「よー、幸村おはようさん!…って、そんな険しい顔してどうしたんだい?」
「…む…慶次殿でござるか」


真田幸村、猿飛佐助の教え子であり、恋人である。

同じクラスの前田慶次は幸村の視線を追い、ああ、と納得した。

「やきもちかい?」
「やっ、やきもちなど!…するわけないでござる…」
「…そうかい?まあ、あんまり無理しちゃ…っと、睨むなよー」
「睨んでないでござる!」幸村は叫ぶように荒々しく教室に入っていった。



佐助はモテる。そりゃもう凄く。
容姿抜群、運動もできて勉強だってできる。おまけに人当たりも良い。これでモテない方がおかしいだろう。

佐助とは幼い頃からの(と言っても佐助の方がだいぶ年上なのだが)付き合いで、数週間前にいわゆる恋人同士になった。
だが、佐助が教員という事もあり、なかなか恋人らしい事をできないでいた。

そしてこのバレンタイン。
幸村はなぜか、異常にイライラしていた。



(……なぜ俺に告白などしたのだ…)



悶々と頭の中で疑問が雪崩のように押し寄せ、さらにイライラは増してしまう。





結局、佐助の担当教科がなかった事と、幸村がイライラしていた事もあり、その日は全く話す事なく放課後を迎えた。

試験前で部活動も中止、幸村はさっさと家に戻ろう、そう思いバックに手をかけた時だった。


「幸村」


教室のドア付近に、一番会いたくない人物がいつも通りの甘い笑みを浮かべ立っていた。

「…なんでござろう…」
「この前の補習プリント、採点終わったから」


つまり、取りに来い、という事だろう。
幸村は不機嫌な感じを隠す気は全くないようで、ぶっきらぼうに返事をすると佐助の後について行った。




無駄に豪華なこの学園は、教員1人1人に部屋が与えられている。
佐助は二階の一番端に部屋が与えられていた。そこに着くまで幸村は一言も話す事はなかった。

部屋に着き、静かにドアを閉めると佐助は少し困ったように切り出した。


「ねえ、なに怒ってるの?」
「…怒ってなどない」
「怒ってないならそんな刺々しい声出さないよ……朝の、見てたの?」
「…」


沈黙を肯定と受け取った佐助は一度深いため息を吐いた。

「ねえ、幸村…」
「っ、お前はなんなのだ!」
「は?」
「なにがしたいのか、俺には全くわからん!」


未だ佐助に背を向けたまま、怒気を含んだ声を上げた。

幸村の頭の中はもはや爆発寸前で、冷静な判断というものを下せない状況だった。
「っ、本当は…女性が好きなのだろう!?同情心などいらぬ!」
「え?ちょ、幸村なんか勘違いしてない?」
「なにがだ!」

佐助は幸村に近づき、佐助の方を向かせる。

(これは…また)

やっとの事で見た幸村の表情は、とても泣きそうに歪んでいた。
こんなふうになった幸村は久しぶりだ、と佐助は思った。

「俺様が幸村に告白したの、同情心からだと思ったの?」
「……それ以外、なにがあるというのだ」
「確かに幸村は女の子苦手だし、恋愛全般苦手だけど、それだけで付き合おうなんて言わない。幸村が好きだから、恋人になりたいって思った」
「さ…すけ…………し、しかし、せっ、接吻もしてこないではないか!」
「ブッ」


予想だにしていなかった言葉に、佐助は思わず吹き出した。

「政宗殿が…恋人ならして当然だと…」
「あんの色ガキ……」


チラッと様子を伺うように幸村は佐助を見た。
佐助は観念したようにガシガシと乱暴に自分の髪を乱すと、打って変わり優しく幸村を抱きしめた。
突然の事にあわあわする幸村を愛おしい目で見つけながら、佐助は口を開いた。


「俺様、女の子とはそういうのした事あるし、どんな事すれば喜ぶとか、そういうのは分かってた。…虚しいだけだったけどね、全部」
「…?」
「小さい時からずっと好きで、でも幸村は恋愛全般苦手だし、なにより俺様、男だし?触れちゃいけないような気がしてさ。だから忘れるために、好きでもない人とつきあったりして…けどダメだった。俺様はやっぱり幸村しか好きになれなかった。もう我慢できなくて、玉砕覚悟で告白したらまさかのOKで、すっげぇ嬉しかった。でもいざ恋人になるとどうしていいか分かんなくて…」


力無く笑う佐助に、幸村は驚いたような表情だった。

(まさかこんなに思われ、こんなに悩んでいるなんて知らなかった…)


「幸村?」
「…っ、本当は、嫉妬していた。沢山の女子からチョコを貰っていた佐助を見ていたら、悲しくなったり、イライラしたり……」
「あー、その事なんだけどね、俺様、一つも貰ってないよ。全部断ってきたから」
「…なぜ、だ?」
「なぜって……好きじゃないし、今は幸村がいるから。だから"恋人ができたから受け取る気はない"って言ってきたし」

ボフ!と真っ赤になった幸村に、佐助はクスクスと笑う。

「ななななななぜそれを早く言わなかった!」
「幸村が話し聞いてくれなかったんでしょー」
「う…」
「…ねぇ、幸村、キスしていいの?」
「え…あ…っ、う、うむ」
「…可愛い…」

そういうと佐助は幸村の顔を撫で、頬にキスを落としていく。

頬、額、耳、鼻、そこまでして一度幸村を見る。


顔は真っ赤で、目は固く閉じられていた。かすかに震えている。

そんな幸村を目にした佐助は小さく笑みをこぼし、桜色した唇に自分の唇を軽く重ねた。


「…ぷっ」
「な、なに笑っておるのだ!」
「ううん、なんでもないよ」


佐助は目の前の幸村を愛おしそうに撫で、もう一度頬にキスをした。


「ねぇ、幸村からのバレンタインは?」
「用意していないが…?」
「そっかあ…じゃあ幸村食べようかな」
「ぬあ!?」
「あれ……嫌がらないんだ?」

幸村は真っ赤な顔をさらに赤くしながら、半ばやけくそのように叫んだ。


「俺だって…お前に触れたい…っ」


佐助は待ってましたと言わんばかりにニヤリと笑い、とびっきり甘い声で囁いた。




  俺様もずっと触れたかった










((さ、佐助ぇ!))
((真っ赤になって可愛いなぁ))







(感想&お礼)

始まりから、素直に嫉妬する幸村がすんごい可愛くて、顔面崩壊してました(^m^)
でも佐助のことだから、可愛いな〜と思いながらも、からかったりするんだろうな…という予測は、見事に外れ。

予想・期待以上に正直に自分の気持ちを告げる佐助に、手に負えんほど萌えました。思った以上に甘々で、幸村への想いの大きさがバーン。何、この素敵な人。動悸止まらない。

シャイなくせに、政宗の言葉鵜呑みにして、大胆なこと言っちゃう幸村も、ホントどこまで可愛いの!
そして、ちゅっちゅ(≧▼≦)しかも、頬から色々なとこにしてから?ずっとしたかったんだろうに、果てしなく優しいチュウ。のぉぉ(//∀//)
佐助、良い仕事し過ぎ。すげぇよアンタ…

この後の、初めての…でも、きっと甘さ炸裂なんだろうな〜ムフフ(*^^*)

とにかく、終始二人それぞれに萌えさせて頂きました。
藤篠様、本当にありがとうございました!

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