光抱いて闇に染まる19



「ずっと。俺は…俺だけは、旦那の傍にいるよ。ずっと、ずっと……。だから、そんなこと言わないで」


「さすけ……」



 唯一残った親友の言葉に、幸村は佐助をきつく抱き返す。


 ガタガタと震えた、細い腕。

 嗚咽を堪えるその吐息すら、佐助にとっては甘美で貴い存在で。


「だんな」

 己の腕にも力を込めながら、佐助はそっとカレの匂いを感じた。




――幸せだ



 
 ジワジワと胸に染みていくこの感情を、佐助は素直に『幸せ』と名付けた。


 ずっと、ずっと愛していたカレをこうして胸に抱いている。



 それ以上の幸福など、在る筈がない。



 家康のように、唯一の存在としてカレの心の中に住めない。


 政宗のように、カレの身体に対して唯一の男になれない。



 けれど。

 これから、共に未来を歩ける唯一の友になれたのだ。



「一緒にお見舞いに行こう。大丈夫。旦那が祈っていたら、あの人もきっと眼を覚ましてくれるよ」


 白々しく嘯く。

 これからも、己はカレに対して嘘をついていく。


 こうしているのは友情としてなのだと、只の事故だったのだと。


 そう、偽りを囁いて。



 こうして己の光を抱くたびに、己の心と身体は罪に染まっていくのだ。


 けれど、それがなんだというのだろう?


 清らかなカレの分の咎を受けたとしても、この結末に後悔なんてあるはずも無い。


 欲しいのは、カレだけなのだから。



「旦那、泣かないで……。俺が、傍に居るから。いつまでも、いつまでも……ね?」


 懺悔と悲しみで涙を流す幸村の身体を強く抱きしめる。



 罪に染まった己の手は深くて暗い、闇の色だった。








(感想&お礼)※長い…です;

心のマイラバー・ゴマ様からの素敵な頂き物でした(*^^*)

『神から与えられた罰のように、生まれたときから一緒だった』の表現には、かなりやられました。私のリク以上に、政&佐の想いが切なくて。

そもそも、ゴマ様の『家幸←政+佐も…』のコメントに妄想膨らみ、お願いしちゃいまして。すごく彼らしくて、さすがは家康好きのゴマ様です(≧▼≦)

二人らしい関係、思った以上に爽やかで、心から繋がってる様を政宗たちに見せ付けてくれ、かなりニヤリしました。誠意を示そうと、ズバッと政宗に言っちゃう幸村にも。

政宗の想いに泣かされます。ゴマ様の政宗様は、本っ当に素敵です…(´;ω;`) 自分を責めて抵抗しない幸村も、彼らし過ぎる。
佐助の、自分の罪深さを分かりながらそれを嘲笑う姿も、表情が浮かんでくるようです。

胸の中で抱いたのは家康…とかぁぁ…!身体は闇に染まっていくけど、心には光を抱いて。るから、政宗や佐助にとっては、一層輝いて見えたりするのかなとか。その光は家康なわけなので、これまた。

一見、佐助が良いとこ取りに思えるけど、他の二人と違い、恋愛対象としての『唯一』にはなれない。この想いを告げることは一生ない、それでも…という。

タイトルは、政・幸・佐全員に当てはまる言葉だったのですね。家康も、幸村の本当の光を胸にしたまま闇に眠る…で、一緒かな?とか思ったり。
四人それぞれの想いが強くて、本当に切ないです。

ゴマ様は『暗くて;』と恐縮されてましたが、それはいつも感じないんですね〜。それを凌ぐほど、キャラの心情が強くて綺麗で一途なので(*^^*)

背景描写もまざまざ浮かぶようで、終始彼らを、月が見ているイメージでした(´∀`)

ゴマ様、素敵なお話を、本当にありがとうございました!

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