光抱いて闇に染まる16



「旦那のことを想い、旦那に想われ続けながら、眠る。アンタは望まなくても、俺にとっては一番の幸福の形だった」


 拳を強く握って、佐助は苦しそうに呟く。



――だから、旦那に愛されたアンタにその幸せを送るよ。


それをあげても、俺は満たされるから。


そう。これからの俺は、アンタよりも、ほんの少し不幸せなだけだから。


……きっと、ね――



 ゆっくりと、空が明るくなってきた。


 淡い光に照らされる、己と彼。


 とても弱い光なのに、佐助にはまるで己の周りが燃えているように見えた。



 全てが焼けてしまえばいい。

 焼けて何も残らなくなった光景を想像する。


 それは何モノにも勝るほど、綺麗だった。




 しばらく、佐助はカレの姿を見つめていたが電波のある場所へ行くために歩き出した。


 第一発見者として、救急車を呼ばなければならない。

 そして、しばらくしたら小十郎からの連絡もあるはずだ。



 幸村を保護した、と。



 政宗にはもう会う事もないだろう。



 光を抱いて更に闇に染まった政宗は、これから幸村の温もりを抱きながら過去に生きるしかできない。


 しかし、それも政宗にとって幸福なのかもしれない。



 幸村の身体に触れた、生涯で唯一の存在になったのだから。


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