光抱いて闇に染まる13
「政宗殿……ありがとう」
そっと呟いて、幸村は政宗の腕から逃れる。
不安定に揺れた、親友の瞳。
彼をそんな顔にさせた己を嫌悪しながら、幸村はじっとその顔を見つめた。
「そして、今までその気持ちに気づかず……ごめんなさい」
ぎゅっと拳を握り、幸村は己の身をちぎるように一言一言を紡いでいく。
そして、
「俺は、家康殿が好きだ」
はっきりと、そう告げた。
「家康殿と、共に生きたい。俺が、初めて好きになった人だから」
「幸むら……」
政宗は、その姿にただ見惚れた。
己の想いを言葉にした幸村の顔は、とても美しかった。
そしてその美しさは、己以外の男を想って形作られたものだと、痛いほど想い知って。
「! ま、……さっ」
頭よりも先に、手が動いていた。
先ほどまでしていたように力ずくで抱きしめ、ベッドに押し倒す。
抵抗する幸村の上に覆いかぶさって、後は衝動のまま身体を動かしていく。
過去に遊び疲れた後に皆で雑魚寝をした、そのベッドで。
衣の破ける音と、手足が物にぶつかる音が響いた。
声を出せないようにと無理矢理に口づけして、政宗は虚ろに想う。
分かっていた。
光に当たれば当たるほど、影はより深くなっていく。
カレを抱いて己が染まっていくのは。
途方もない黒
渇望していた己の唯一の光を実際に胸に抱いて、己は外道となり下がるのだ。
その己の心を覗き込むと、深く深く染まりきった闇があるばかり。
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