光抱いて闇に染まる11
「懐かしいだろ?」
山奥のコテージ。
怯えた瞳でこちらを見つめる幸村に対して、政宗はとても静かに語りかけた。
「おやじが使わなくなったこのコテージで、俺ら3人でよく遊んだよな」
「……」
「ここ数年は忙しくてなかなか来れなかったが、またああしていつでも遊べるように、そのままにしていた」
確かに、幸村が見渡すと、部屋の中には昔遊んだテレビゲームやカードゲームなどが置いてあった。
あの頃、夢中で遊んだ物たち。
けれど、例え今再び遊んだとしても、もうあの時のように熱中できないだろう。
それだけ己たちは成長した。
変わった。
「使わないってのは分かってた。でも、アンタが触れたもの、居た空間を、自分から処分することはできなかったんだ」
そっと近くにあったトランプに触れながら、政宗は幸村に語り続ける。
「俺達は、ずっと友達だったよな。……ずっと」
「政宗、どの……?」
人が変わったかのような政宗の様子に、幸村は名前を呼ぶしかできなかった。
彼の考えが、読めない。
「なぁ」
そっと、政宗は幸村の顔を見つめた。
静かな表情のその顔。
瞳だけ、とても熱くて切ない。
「アンタと初めて会った時からずっと、俺がアンタのことを好きだったとしたら、なんて言う?」
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