光抱いて闇に染まる10
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『猿飛、独眼竜が…幸村を連れ去ったのだ!』
「話が分からないよ? 落ち着いて、アンタらしくもない」
珍しく動揺する家康の声に、佐助は静かに答える。
「旦那とアイツは友達なんだ。2人でどっかに行くこともあるでしょ」
『だが……、独眼竜の様子がいつもと違っていた。ワシと待ち合わせていた幸村が、目の前で無理矢理車に入れられた所をこの目で見たのだ』
「サプライズで旦那にプレゼントでもあるのかもよ? アイツ、旦那にだけは優しいから」
『そうではない!』と初めて聞く感情に任せた家康の声色に、もうそろそろいいかと頭の中で計算する。
「……アンタがそこまで焦っているんだから、本当に旦那に何かあったんだね。俺様も探してみるよ」
『頼む。それで、お前に頼みがあるのだ。独眼竜が幸村を連れて行きそうな所は、どこだ? 目星があれば教えてほしい』
「うーん…。
確かではないけどさ」
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