光抱いて闇に染まる6
「本当によかった。ワシたちを認めてくれて」
2人になって、家康は佐助にほっとしたように笑いかけた。
「真田は、ずっとお前たちを気に病んでいたんだ」
気だるく椅子にもたれかかり、佐助は窓の外に視線を向ける。
幸村と政宗が歩いている後姿をじっと見つめた。
大学を卒業して、正式に親の会社を継ぐことになった政宗は多忙だ。
今回も、日中になんとか時間を作って訪れた。
幸村はそんな彼に感謝して、秘書の小十郎が迎えに来るまで一緒に外で待っていると言って聞かなかったのだ。
「真田にとって、お前たちは本当に大切な友達だ。その絆が、ワシはとても尊い」
光に満ちた瞳。
政宗が本気を出したら、力ずくで幸村を車に押し込み、家に監禁することができるなんて考えもしていない。
「ヤだなぁ。俺様は旦那が大好きなんだ。大事な大事な旦那が笑顔になるなら、こんなにいいことはないでしょ?」
わざとおどけた真と嘘。
「ありがとう。これからも、真田と友でいてくれ」
家康はその『好き』を友人としてだと勘違いして微笑む。
無邪気さゆえに神経を逆なでする言葉。
もはや笑みを向けたくないと、佐助はコーヒーをすする。
冷めたコーヒーは只不味かった。
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