光抱いて闇に染まる5
「俺に軽蔑されることが怖くて言えなかったのか? ……バカ、言うなよ」
カレが、ヤツが抱くよりも、ずっとずっと前から己が抱いていたその恐れ。
どう、軽蔑しようというのか。
「……旦那が幸せなら、俺様は、それでいいんだよ」
幸せで在ってほしかった。幸せにしたかった。己の手で。
けれど、彼を幸せにする手は己のではない。
「ありがとう。政宗殿、佐助」
その時のカレの笑顔を、己たちは決して忘れないと思った。
それはまさしく己たちが求めていた光。
清らかで美しくて、闇に染まった己たちが触れたら元に戻れなくなってしまうような、そんな危うく儚い光。
「よい友達を持ったな、真田」
そんな光を包むヤツは、とても優しく愛しい人を見つめた。
己たちのどす黒い感情なんて、気づきもしない。
人を疑うことのない、広い心を持った太陽。
お似合いなのだと、思い知る。
光が太陽に惹かれるのは当たり前なのだ。
けれど、己の胸の中で生まれ出ていくこの存在は何なのか。
影は、光が在って初めて存在する。
愛しい光に照らされてできた影は、どす黒く醜くて。
作り笑いを浮かべながら。
政宗と佐助は、己たちを侵食していくその影の存在を確かに感じていた。
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