光抱いて闇に染まる2
『好きな人ができた』
そう、友人であり最愛の人である幸村にそう告げられた時は心臓が止まるかと思った。
「……そうか、congratulations」
「旦那が幸せなら、……俺様も嬉しい」
巧く笑えているだろうか?
巧く喜べているだろうか?
演技には自信がある筈だった。
けれど、その言葉を聞けば今までの上辺だけの表情、その全てが弾け飛んでいた。
嗚呼、恐れていた事が。
夢のままで在ってほしかった悪夢が。
実現したなら、なんと呆気なく残酷なシロモノなのだろう。
綻びを生んでいく感情を無理に押し隠し。
政宗と佐助はとても嬉しそうに幸村に祝福した。
親友であるというフリをして。
政宗と佐助が男である幸村を恋愛の対象として意識したのはいつだったのだろうか?
まるで神から与えられたの罰かのように、生まれた時から彼らは一緒だった。
気がつけば。
そう、物心ついた時から。
2人は幸村の愛情を求めていた。
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