光抱いて闇に染まる1
ゴマ様より。サイト様の2000打をゲットし、リクエストお願いしました(^^)
現パロ「家幸←政+佐」(悲哀、微裏)
家幸(白くて幸せ純情仲良しCP)、政+佐は、死ぬまでこの想いを告げまいとしてたのに、相手は女の子じゃなくて男(しかも人望あり、自分らと違って幸村に似合う明るさ)
二人は、一体どんな行動を…
色んなパターンの結果が浮かび、そこをお任せしました。もう、楽しみで楽しみで。
とにかく、四人全員の心情が切なくて愛しくて。背景描写も、すごく綺麗で…あとは、感想に思いきり(><)
ゴマ様、本当にありがとうございました!
(全19ページ)…当サイトの5、6p相当です。
強い力で腕を引かれて、転倒しそうになった。
それでも己を引っ張るその力は弱まらない。
悪い足場に何度も蹴躓きながらも辺りを見渡しても、そこに在るのは暗闇だけ。
歩いても歩いても明るくなんてならない、底なしの闇。
穴のようにポッカリ浮かんだ満月が、現れては消える。
けれど光はこの場所には入らない。
木々に覆われた、この地には。
「まっ……て」
決してこちらを振り向こうとはしない背中に、幸村は問いかける。
「どこに、行くので……?」
心細そうな声色に、一瞬だけ動揺したかのような背中。
けれどそれは本当に一瞬で、何事もなかったかのように相変わらず幸村の手首をグイグイと引く。
「……どの」
声が出ない。名前が呼べない。
瞼を閉じればあの時の彼が思い出される。
いつも己を優しく見ていてくれた彼に。
でも、その彼は今どこにもいない。
――イエヤス、どの……
生い茂る木の枝で己の手を傷つけながら、幸村は心の中で彼の名を呼ぶ。
ただ、目の前の背中だけが鈍く光っていた。
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