What do you want for lunch?
リンクのお礼文…として頂きましたが、むしろ、こっちがお礼をさせてもらう側でして(><)
リクエストは悩みに悩んで、『末真様のオススメ主従』でお願いしました!
私、そういうリクするの多いんですが、楽しみでならないんですよね、うへへ(´ψψ`)
現パロ真田主従の、ほっこり話。
やはり末真様の書かれる二人は、現代でも『らしく』て素敵です!
最後に、お礼と感想書かせて頂きました。
※続き物じゃないですが、前タイトルを未読でしたら、先にそちらから読まれた方が良いかもです。
末真様、本当にありがとうございました!
(全1ページ)
学バサ設定の真田主従です。
学バサでも主従呼びでいいのかはよくわかりませんが。
真田幸村(2年)と猿飛佐助(3年)はサッカー部。
政宗様(2年)は野球部。
というのが公式の学バサ設定。
部の説明をしたのに、部活は関係なく。
学バサと言った割に、学園が舞台でもないという。
ただの現パロといえばそうですが、まあ一応オリジナルではなく公式の学園設定を借りてきて捏造させていただいた次第であります。
《What do you want for lunch?》
『天敵のいない屋久島では、鹿と猿が仲良くしています……』
「へえー、みてみて旦那、猿が鹿の背に乗ってるってよ」
眺めていたテレビに、鹿の背に乗って移動する猿の映像を観て、佐助はそう呼びかけた。
しかし応答はなし。
「そういえばさー、政宗ってSと見せかけて実はすんごいMだと思うんだよね、俺様」
やはり応答なし。
「かすがの3サイズ知りたくね?」
応答なし。
……ダメか。
佐助は、おもしろくなさそうに、こたつ布団を肩まで手繰り寄せた。
なんだか冷える。
発熱効果のあるインナーの上に厚手のワイシャツさらにニットベストに裏起毛のパーカーまで着込んで、ずっとこたつにこもっているのに。
身体の芯が冷えたまま温まらない。
ぐるりと首を捻じ曲げて。
ちらりと背中合わせで胡坐をかいて座る姿を確認する。
佐助からうかがえるのは、明るい茶色の髪が跳ねる後頭部と珍しく丸まった背中。
いやーまったく……すっごい集中力。
もともと寒さが苦手な佐助はこの季節、こたつから出るのも億劫だというのに。
そろいのジャージ上下にインナーはTシャツ一枚でコタツに入らず、じっと手元に視線を落としている。
真田幸村の真剣なまなざしの先にあるのは、漫画本だ。
太い眉毛と揺らがない黒い目が特徴の、元祖熱血野球漫画。
幸村となにかとライバル関係にある野球部の伊達政宗からはんば無理やり渡されたものだ。
どうやらハマったらしい。
先ほどから気を引きそうな話題を話しかけようが、どんな脈絡のない話をしようが、どんな破廉恥なことを言おうが、幸村からの応答はなし。
時折ページをめくる他は、まったく動かない。
ずっとこの調子で白黒の紙面に没頭している。
「なー、旦那、お昼何食べるよ?」
すこし触れている背から伝わる熱。
それを感じながら、再度話しかけてみるが、やはり反応はなし。
「旦那ってばー」
いいながら、佐助はぐっと後ろにのけぞって体重をその背にかけてみる。
それでも幸村に反応はない。
明らかにかかった荷重も気にならない様子だ。
鍛錬の成果なのか前のめりにもならない。
……あったかい、な……
幸村との背中合わせの接地面が増えて、佐助へ伝わる熱が大きくなる。
こたつではどうしても温まらない背中に感じる、心地よいぬくもりと一定の呼吸音。
とくりとくりと脈打つ心臓の音が合わさった背中越しに聞こえる。
冷えていた身体の芯がゆっくりと温まっていく。
幸村へ体重を預けたまま。
知らず、佐助の視界はゆらゆらとまどろみの中へ溶けていった。
「なんと美しき親子愛……!!」
コミックスを読み終えた幸村は感動のあまり拳を握ってうなった。
主人公のあきらめない姿勢も、父親の厳しい中にある我が子への愛も、すばらしい。
これは、漫画を貸してくれた伊達政宗に感謝しなくてはならない。
内容を思い出して噛み締めながら、幸村はうんうんと何度か頷いた。
「ん?」
そこではじめて自分の背に何か乗っていることに気がついた。
振り返って確認してみる。
「佐助……?」
自分の背にもたれかかって、猿飛佐助がこくりこくりと転寝(うたたね)をしている。
う、うわ……
幸村が身をよじったからだろう、佐助の頭がずるっと床へ向かって幸村の背を滑った。
慌てて、佐助の方へ向き直り、その頭を受け止める。
ふう……
落とさなかったことに胸をなでおろした幸村は、そのまま佐助の頭をぐぐっと持ち上げてから。
今度は肩を支えもって、その頭を自分の膝にとりあえず乗っけることにする。
それだけしても佐助は起きなかった。
それを確認した幸村は、もう一度ほうっと安堵のため息をはく。
それには少々の呆れも含まれていた。
まったく、俺にはこたつで寝るなと何度も注意するくせに。
佐助自身がこたつでこんなにぐっすり眠ってしまうとは。
気がつけばテレビもつけっぱなしである。
ピ。
腕を伸ばしてこたつの上に載っているリモコンのスイッチを押してテレビを消す。
それから幸村は佐助の両脇に腕をいれてこたつからその身体を引っ張り出した。
そして、
「ほっ」
難なく肩と膝裏を支えに佐助を横抱きにかかえ、立ち上がる。
このままこたつで寝ていては、佐助自身が言っているように風邪をひいてしまう。
ベッドへ運んでやろうと、そちらへ歩き出す。
「んむ……」
抱えている佐助がすこしうめいた。
起きたのかと顔を近づけてうかがってみたが、まぶたは閉じたままだ。
「ふふっ」
自然と幸村から笑みがこぼれる。
彼は、愉快な気分だった。
学年はひとつしか違わないのに、その一つの差は大きく。なにかとオトナっぽい佐助に、まだまだ世間知らずの幸村は何かと世話になっている。
その佐助の世話を焼いているというのが、日ごろとは逆で、少し彼に近づけた気がして幸村はうれしかったのだ。
誰かが笑った雰囲気が空気をふるわせたのを感じて、佐助は意識を浮上させた。
ゆらゆらとした浮遊感に身体が包まれている。
そのくせ、妙な安心感。
なんだかとてもあたたかい。
ふと目をあけると、見慣れない部屋。
そう思ったのは一瞬。見慣れないと思ったのは、視点の高さの問題だった。
「!?!?!? だ、旦那!?」
なんだこの状況は。
寝起きの佐助の頭がフリーズしそうなほど高速で駆け巡った。
な、なんで、俺様、旦那に抱き上げられてんの!?
しかも、これは俗にいう
お 姫 様 だ っ こ !?
冗談! なんだってのこれ!
夢?
夢か。なんだ夢かあ。
「おお。なんだ佐助、起きたのか」
佐助を抱えたまま、幸村が顔を覗き込んで少しだけ残念そうに続けた。
「せっかく、寝室まではこんでやろうと思ったのだが」
その幸村の親切心にあふれた言葉が、佐助をさらなる混乱に陥れる。
し、寝室!?
寝室ってなに!?
寝室にはこんでっていったい全体どういうこと!!
っていうか顔近いんですけど!!
旦那、まつげながっ!
ってそーじゃなくて!
混乱のきわみの佐助の頭は、砂時計。
シバラクオマチクダサイ状態。
そんな中、
ぐきゅるるるる……
なんとも気の抜ける音がした。
発生源は、幸村の腹の虫。
至近距離で見つめる幸村の瞳に堪えられず、佐助がどうにか逃がしていた視線の先の、時計の針はぴったり正午を指していた。
機械並のその精度に呆れるやら、感心するやら。
「あー…えっと」
佐助は、ようやく口をひらいた。
「旦那、お昼何食べる?」
佐助の問いに、「んー……」としばらくうなった幸村は。
「おむらいすがよいな!」と満面の笑みで応えた。
「りょーかい」
「けちゃっぷたっぷりでな」
「はいはい」
「とうもろこしも入れてくれ!」
「うん。っていうか、いいかげん俺様を下に降ろそう、旦那」
終幕
(感想&お礼)
可愛い可愛い可愛い可愛いぃぃ…!!
私は、思いっきり佐幸視点で見てしまうんですが、逆でも多分「萌え」なんじゃないでしょうか?
私、攻めを軽々抱き上げる旦那、大好きなんですよね…(政宗には、今分かるだけで三度もさせている;)
こたつでは温まらない佐助、幸村の熱や鼓動を(安堵も?)感じて眠っちゃう佐助。何とも彼らしくてたまりません。温まらないのは、幸村に相手してもらえず…だからかな。
巨人の☆…ですかねっ?とても武田軍らしい、あの(^m^) うんうん、旦那絶対ハマりそう。佐助、寂しいねー、すねちゃうよねー、しかも政宗からのだもんねー(すいません、つい)
起きたときの佐助の反応が、めちゃ可愛いです!いつも大人ぶってる彼を、微笑ましく思う幸村も(≧▼≦) うぉぉ、やっぱ抱っこ萌えるわぁぁ!
佐助も、照れや衝撃やらでホットになっただろうし、幸せな一日の様子がありありと想像できました。ごちそうさまでございます^^
末真様、本当にありがとうございました。
↓以下、末真様からの素敵後書き(転載許可頂きました!)
死ネタが悲しかったので、砂はくくらいの書こうと思ってこうなりました。
甘さはウチにしてはカナリ高め。真田主従の左右はいつも決めずに書いてます。(私の頭の中は佐幸寄りですが)
課題は「背中合わせ」でした。そしたら、旦那がさらっと膝まくらもお姫様だっこもやってくれました。旦那GoodJob。
お姫様だっこは、佐助が幸村に普通にやっているから、幸村もそれが普通だと思っています。あるいみ、佐助の教育のたまもの。
お察しの通り、漫画のモデルは例の☆です。最近その主人公がでてくる某携帯電話のCMがいちいち面白くて。彼の行動が、ことごとく幸村っぽくて大好きです。
偶然ですが、ピオ様のサイト名が入っていて私GJと思いました。
屋久島のプチ情報が、じつはタイトル並みの活躍をしています。
猿(佐助)が鹿(幸村:史実の幸村の兜には鹿の角)の背にのってる話。
〈ピオより。お返事は既にさせてもらったんですが、素晴らしい事細かな背景と配慮に、とにかく脱帽でした^^〉
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