get back my pain5





失われていく、体温。


熱が。


幸村が。

その炎が。


握った手が。
触れた頬が。




大好きな笑顔が。
唐突に理解した。



俺様には本当に大事なものなんてなかったんだ。


真田幸村。この人の他には。


やっとわかった。

あんたは優しいから、たくさん大事なものをもっていて。
たくさんの大事なものを、失ってきた。

知らなかった。

こんなにも、こんなにも怖かったのか。
こんなにも、こんなにも悲しかったのか。

それを越えて、前を向いて、光を見据えていたのか。

なんて、あんたは強かったのか。



「──いやだ」


いっそ一思いに…なんだって?
そうしたらずっと一緒?

無理だ。

駄目だ。いやだ。


「いやだ、いやだいやだいやだ…!!」




大事なものを失うのは。



こわい。




記憶はそこで途切れていた。
自分には耐えられなかった。
恐ろしくて、恐ろしくて。
最期の最期に、誓いを破った。

あの人の幸せは、自分が幸せであることなのに。
絶望のうちに世界を閉じた。


やっぱり自分は、あの人と釣り合う器じゃなかった。
主と使い捨ての道具。
その境界を越えてはならなかったのだ。
きっと弱い自分は、あの人に惹かれずにはいられなかっただろうから。

いっそ、出会うべきではなかったのだ。




弱くて、情けなくて。


無性に。

ただ無性に。



すべてを謝りたくて。

何もかもが申し訳なくて。





ごめん。ごめん、旦那……


ごめん……
















──そして、佐助が記憶を取り戻した現代、「旦那、ごめん…」に繋がるんですね。(次ページに、末真様による後書きあります。むしろ、そちらを是非是非)


(感想&お礼)

泣いても良いですか。色々と。

まず、私の作品から「書きたい」と思って下さったこと。なんて光栄でしょう。作品を大事にして下さってる…と、自惚れちゃっても良いんですかね。どこまでも昇っていきますが。

戦国での回想は、最後まで悩んでて。佐幸が幸せだったんだ、っていうのを出すために、そういうシーンをもっと入れようとしたんですが、最終話があれだから、どうしてもできなくてですね(´`)
で、戦国知識薄いから、戦の描写とか、精一杯やってもあんな;

それが、末真様の素敵文によって、リアリティーというか、命が吹き込まれたかのようです。私の、あんな曖昧な佐助の行動に、戦忍の真実味を与えて下さいました。毒や武器、敵との対峙…
私が書いた佐助以上に男前で、忍らしくて、読んでる間、ずっと「すごい」ばっかで、頭埋め尽くされてました。

何より嬉しかったのが、戦国の幼少時エピソードや、学パロの初め〜思い出すまでの、佐助の記憶の葛藤を、きちんと取り入れてくれてたところです。作者並みに読んで下さっておる(;_;)

文章も、相変わらず素敵ですし、三十…からのカウントの書き方とか、本当に惚れ惚れ、一挙に引き込まれます。死角・刺客、など、そういうの大好きなので…。

いつも、感想が拙くてもどかしいんですが、本当に嬉しくて、とても切ないけど素晴らしい小説で、うち震えてます。書いたときのこと、思い出します。

末真様、本当にありがとうございました!

※次ページ、末真様による後書き。とても素敵に分かりやすかったので、転載許可頂きました。

(ここから下は、個人的呟きなので、お好きにです^^;)


戦国が書けないのは、きっと彼らはいなくなってしまうんだろう、って考えが、どうしても離れなくて。だから、学パロ書くために、でも、いきなり幸村にベタ惚れしてる現代佐助が、これまたどうやっても書けなくて。で、あの戦国から始めて。

私の書く現パロは、全部あれが原点であります。だから、政宗と幸村の対決の最期には、できなかった。そんなの、蒼紅を理解してないのと同じな気もしますが、どうしても。

こんな佐幸(←末真様に気に入って頂けるような。すいません、自惚れ;)だから、慶次は、ずっと二人を応援する性質が染み着きました。
私が、佐→幸←慶や、佐vs慶を、あまりやれないのは、あの戦国だからでして。

はっきり書いてないけど、佐助も慶次も、そんなお互いをすごく好いてます。って、自分勝手妄想設定です。

佐幸好き様に、その中にどうにか慶次も入らせて下され…との願い込めての、戦国・学パロでした。

末真様に、作品をこんなに愛してもらえて、本当に幸せです。
しつこいですが、本当にありがとうございました。

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