How Wicked Ruler7


「ふっ」

 幸村と佐助の絶望を見て、政宗はとても満足そうに牢屋から出た。


 縄に縛られている幸村の顎を無理矢理に持ち上げて、その頬を艶めかしくなぞる。


 その政宗のどこか恍惚とした顔を見て、佐助は己をここに監禁した理由に気づいた。



「旦那……駄目だ。コイツの言うことを聞いてはいけない」


 最後の力を振り絞って抵抗する佐助。

 そんな彼を、幸村は安心させるように微笑みかけた。


「大丈夫だ、佐助。俺はどのような拷問にも耐えて見せる。俺の命はこの場で潰えても、お前はどうか、お館様と共に戦人としての誉れを貫いてくれ」


「……違う、旦那。違うんだ。コイツの目的は、旦那の命なんかじゃ、ない」


 首を振って必死に否定する佐助。


 けれど。もう、遅すぎた。



「拷問に屈しないだと? そうか、それは困ったな」


 幸村の言葉に、政宗は白々しくため息をついた。


「確かにアンタは日本一の兵。たかが拷問などで、アンタの魂は消えはしない」


 そして、怪訝な表情を浮かべる幸村の前に紅い鉢巻を突きだした。


「じゃぁ、その武士としての誉れを失えば、どうなる?」

「なに、を……?」


 幸村の言葉が終わる前に、その口に噛みついた。

 無理矢理に唇をこじ開け、舌を入れる。


 必死に抵抗する幸村の鼻をつまみ、ひたすらに口づけをし続ければ、息のできない彼は酸欠で意識を失った。

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