How Wicked Ruler6
「アンタら、恋仲なんだろ?」
そして、暗い声でそう呟く。
「……そんなこと、在るはず無かろう?」
幸村の否定に政宗は眉を寄せた。
「気づかねぇと思っていたのか?」
そう言って、乱暴に牢屋の扉を開ける。
「いつもいつもいつも。世界には自分らしかいねえってツラしやがって」
鎖を掴み、その身体を無理矢理に持ち上げて拳を振り上げる。
「戦場でも、城の中でも、いつだって、アンタらは……!」
そう言いながら、力の限りに殴り続けた。
牢屋からは血が飛び散り、うめき声が響いて。
「……止めろ!!」
喰い込む縄から逃れようと身体をよじらせながら、気がつけば叫んでいた。
「何でも言うことを聞きまする、政宗殿。……だから、これ以上佐助を傷つけないで下され」
ぽたぽたと、涙が地面に染みをつける。
「……だんな」
その様子を見て、佐助はとてもつらそうに瞼を伏せた。
ジャラリと、鎖が虚しく響く。
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