そらすそらさない4


 好き、なんて知らない。分からない。


 きっと一生知ることは無いのだと2人を見て思った。


 だから、己は2人を選べない。

 好きになれないのだから。その気持ちに応えられないのだから。


 でも、



「「なぁ、ねぇ、 どっちを選ぶんだ? どっちを選ぶの?」」

「「今はまだ、知らなくてもいいんだ。 そう、俺様を選んでくれれば。 その後で、俺のことを好きになってくれればいい。 今は、アイツから旦那を引き離せたらいいんだから」」



 まるで呪文のように、2人はカレの耳元でその言葉を囁き続けた。


 何度も、何度も、何度も。

 長い時間をかけて、毎日、毎夜、毎回。


 どちらかの声なのか、分からなくなるくらいに。


 次第に2人が傍にいなくても、カレの耳に彼らの声が響くようになっていった。


 その声は選べないカレを責めるように聞こえて。



 選べない選べない……選んで選んで……選ばないと……選バナイト。


 でも、



 ドッチヲ?

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