分別盛り(前編)13
最初、政宗にとって幸村は只、己の創作意欲を刺激する存在なのだと考えていた。
そう思い込んでいた。
けれど、幸村の前に居る己は、こんなにも些細なことで一喜一憂していることに気づく。
こちらを見て欲しくて乱暴する。
こちらを見たら優しくしたくなる。
幸村と共に居る己は、知らなかった一面が次々と現れていった。
それが、苦しくも、どこか快感で。
幸村も、そんな政宗の変化に心のどこかで気づいているようだった。
愛情なのか。
愛欲なのか。
政宗の本当の気持ちは分からない。
けれど。
肌を合わせ続けたからだろうか?
政宗といて、心地よい気持ちになっていることは間違いなかった。
そのことが、深く幸村を苦しめているという事も。
また、事実。
そして、そんな2人の関係は作品にも影響を及ぼしていく。
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