分別盛り(前編)11
それから、政宗は度々幸村をデッサンのモデルにして、抱いた。
いや、抱くというよりも犯すと言った方がいい。
幸村から望んだことなど一度もなかった。
抵抗するが、弱みをチラつかせると彼の身体の力は抜けた。
その従順さが無性に腹が立って、余計に乱暴させたりもした。
場所もどこでも構わなかった。
自分のアトリエだけではなく、大学のトイレ、教室、校舎裏……校外の路地裏、公園。己が欲情すればところ構わず行為を行った。
校舎内で彼が友人たちに囲まれている所を見て、無理やり連れ去って抱いたこともある。
やけに自分の目に眩しく輝く栗色の髪を見つけて近づくと、己には向けたこともない笑顔を浮かべている様が目に飛び込んできて、彼の理性は飛んだ。
己の姿を見て顔を恐怖に強張らせる幸村がますます彼の神経を逆なでさせて、その腕を掴んで無理に引っ張っていく。
かの有名な上回生に目をつけられた友人を呆気にとられて見つめる彼ら。
その中で、1人だけ、政宗を射抜くように見つめる青年がいた。
幸村にしか興味のない政宗は振り返って見もしない。
しかし、その青年だけは何かを探るように、政宗と、様子のおかしい幸村を視線で追っていた。
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