猿の眼(ましらのめ)9


「こんなところに何の用? アンタは、灰になって散るべきだと思うよ」


 共に行こうとする主をおいて音のするところに来てみれば、そこには。


「ほう、これは望まぬものが来た」


 佐助の姿を見て、松永はそう冷たく笑った。


「おびき寄せてみれば……。私が求めていたのは盾無(まもらず)、歪んだ瞳ではないのだよ」

「それで、武田が疲弊している時にきたっての? 相変わらず趣味悪いね、アンタも」


 ムッとした顔で、疲れた身体に鞭を打って手裏剣を構える。



 変わる視界。


 強欲のオーラに塗れた、猿が1匹いるばかり。



「悪いけど、ここを通すわけにはいかないよ? 自分の炎で燃え移って死ぬのも間抜けでいいかもね」

「ほう……。これは面白い」


 そう睨みつける佐助を見て、松永は読めない表情で笑った。



「卿の瞳を癒したのは、あの光かね?」



 途端に、心臓が大きく波打った。


「……何を、言っている?」


 思わず、困惑した声を出す佐助。


 その時、

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